寒いのは冬のせい


イルミネーションに彩られた街を歩く

付き合っているわけではないけど
何だかカップル同士歩いてるような感覚におそわれる

男子と二人きりなんて初めてだから

「あの…名前聞いてないんですけど」
「あり?知らないんだ。俺は神威」

神威ー…
どっかで聞いたことがあるような気が…

「あっ!」
「どうしたの?」
「もしかしてあの喧嘩番長の!」
「なんだ。知ってるんじゃん」

知らなかった…
もっとゴツいやつかと思ってたし

「ま、そんなの関係ないからさ。今日は楽しもうよ」

そうして
カップルたちが犇めくなかに紛れていった


翌日

「おはよう。しぐれちゃん」
「おはよーアル!」
「昨日はどうだった?」
「えっと…とくになにも…」
「そう」
「やっぱりアイツはやめといたほうがいいヨ」
「けど…」
「しぐれちゃんのことなんだからしぐれちゃん自身が決めることよ。
こういうのはね」
「ありがと。妙ちゃん」

妙ちゃんはにこりと微笑んだ


放課後

今日は委員会があったので待たせるわけにもいかず
先に帰ってもらった

ということで一人で下校

いつもは三人で帰る道も一人で歩くとなんだか寂しい
すると前方に見覚えのあるピンクで三つ編みの髪がみえた

「あ!神威君!」
「しぐれちゃん…だっけ?」
「うん!」
「今日は神楽たちと帰ってないんだ」
「あ〜…今日は委員会だったから先に帰ってもらったの」
「そうだったんだ」

暫く話していると
一人の綺麗な女の人がこちらに歩み寄ってきた

「ねぇ神威。その子だれぇ?」
「友達だよ」
「ふぅ〜ん。そんな子よりさ、私と遊びに行こうよ」

美人さんは神威君にべたべたくっついてきて
当の本人もなんだか親しそうで…
そんな光景をみていると
チクリと胸が痛んだ

やっぱり私、神威君のこと…

兎に角どこかにいこう
こんな光景みたくないよ…!

私はただ夢中で走り続けた
寒さも全て忘れて


寒いのはのせい
本当に寒がっているのは
身体じゃなくて
心ー…



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