土曜日


ふかふかのベッドで目が覚めた。
あぁ、そういえば昨日無理やり病院に連れていかれたんだった。

看護師が横で何やらしていたので声をかけた。

「おはようございます。具合はどうですか?今先生を連れてきますね。」

看護師が病室を出て行ったのと入れ替わりに神威が入ってきた。

「おはよう、大丈夫?」
「おはよう。心配かけてごめんなさい。」

ただ公園でお話しするだけの間柄なのにここまでしてくれるとは思わなかった。
医師は困惑した表情で身体には異常はない。
今回のその不調に関してはこちらでは原因がわからない。
そう告げ、そそくさと出て行ってしまった。

「原因がわからないなんて変なの。」
「…いや、わからなくて当たり前よ。心当たりはあるから。」
「心当たり…?人には言えないようなこと?」
「まあ、そうね…。迷惑かけてしまったもの。貴方には話さないといけないわね。」

自分が月の民であること。
それは既に知っていたことだろう。

地球では月の民は永遠を生きる不老不死であるという言い伝えがある。
だが実際は違う。ただ、月と地球の時の流れが違うためである。

月と地球を行き来できるのは満月の夜だけ。
それもかなり特殊な技術が必要な為、月の民でさえそう簡単に来ることはできないこと。

そして、自分は例外種であること。
月のアルタナの影響を受けていること。

「今回の原因は恐らく…いや、確実にアルタナが原因。予想より消耗が早いみたい。」

月にいてはわからないこともあるものだ。
これはアルタナがどこまでこの身体に影響しているのか、今までより興味が出た。
戻って調べるのも面白いかもしれない。

無理な話だが。

「なんで…なんでそんな事…。」
「まあアルタナだなんだ、突然言われても困るわよね…普通じゃ馴染みのないことだもの。」
「…いや、知ってるよ。」

ぽつぽつと話出した内容は家族の話。
母親がアルタナの影響を受けていたらしい。
そして亡くなった事。

「…あの時すれ違ったとき、どことなく母さんに似た雰囲気だったから気になったんだ。
この年で、まだ母親の姿を探してしまうなんて馬鹿らしいよね。」
「そんなことないわ。まだその年だもの。本当にごめんなさい。嫌な思いをさせてしまって…。」

子供をあやすようにそっと抱き寄せ頭を撫でる。
神威が今何を思っているかはわからない。

ただ申し訳ないという思いでいっぱいになった。


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