月曜日


「だから、今人手は足りてるから無理っつってんの」

珍しく万事屋に人が訪れていた。

みすぼらしい着物に雑把に後ろで1つに結った黒髪の女が
私を雇ってくれないか、とやってきたのだ。

「田舎から江戸にでてきたばかりなんです。どうか、短い間でも…」

頑として首を縦に振らないのは万事屋銀ちゃんの主。
坂田銀時だった。

「この人にも事情があるみたいだし、雇うは無理にしても何かしてあげられるんじゃ」
「新八、見た目に惑わされるな?女が突然雇ってくれなんて怪しいだろ?
絶対何かあるのでうちでは雇えません!」
「そうネ。女は何考えてるかわからないヨ。
少しも怪しまないから新八はいつまで経っても新八アルよ。なんだヨぱちって」

あーだこーだと言い合っているが
その内容はもちろん女の側にも聞こえている。

しかし、自分が疑われているにも関わらず彼女は怒る事もなく
その光景をどこか羨ましそうな目で見つめていた。

一頻り押し問答をした末
ここではないが雇ってくれそうな場所を紹介すると言った。

万事屋から歩くことしばらく。
昼の為看板のライトが点っていないところが殆どの町並み

そのうちの1件に何の遠慮もなく入った。


「ちょっとちょっとー、来るなら来るって事前に言ってくれよ銀さん」

店の奥から出てきたのはオールバックにサングラスの男。
この店、スナックすまいるの店主である。

今回の依頼主、もとい雇ってくれと現れた女を指してこいつをここで働かせてやってくれないか。
と店主に言う。

「いやさあ…かわいいからいいけど、銀さんの知り合いでしょ?
前みたいな曰く付きというかさ、そういうのだったらこっちも困るんだよね」
「その心配はいらねえさ。仕事が欲しいってんでうちに来た奴だからよ」

んじゃあとはよろしくな

それだけ残してさっさと店を出て行ってしまった。

「じゃ、君はこっちきてね。とりあえず今日から勤務ってことで」


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