イケメン四天王 | ナノ
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「いますよ、岩泉さんが探している子かわからないですけど」

そう笑顔で俺に言ってきたのは2年の渡だった。一応、と思い聞いてみたら彼は思い当たる節があるようで。まじで、とつい食いついてしまう。

「いま、同じクラスなので…でも定かではないです。コンビニでバイトしてるか聞いておきましょうか?」
「いいの?」
「そのくらいなら。席、隣なんで」

運がいい、と思った。試合でも調子がよかったし、探していた子は見つかるし。わかったら連絡します、と律儀な対応。

「あぁ、渡」
「はい」
「及川たちには内緒な」
「はい、わかりました」

なんでかはよくわからないが、知られたくなかった。茶化されそうだ、というのもあるが、なんとなく。こっぱずかしいというか、秘密にしておきたいというか。

いい気分のまま週末を終えて月曜日。ちゃんと充電した携帯からいつもの電子音。いつもの時間に及川と学校に向かう。
及川は校門を過ぎた辺りで何年かよくわからない女子にわぁっと囲まれた。試合明けの、“いつもの"儀式だ。俺は慣れたタイミングでその輪から抜ける。鼻の下を伸ばす男を半ば呆れながら観察した。待っている義理もないが、置いていくと後が面倒だ。

及川は、よくこうして女子に囲まれていた。羨ましくない、と言ったら嘘になるが、度がすぎるとも思う。チームメイトの松川も花巻もよく告白とかされて、ちょこちょこ彼女がいたりもしていた。大抵、3ヶ月もしないうちに終わっているのだけれど。俺だって、全く浮いた話がないわけじゃないが、どうも付き合うとか好きだという感情に疎くて、彼女ができたことはない。もう高3だぞ、と若干焦るが、部活もあるし、と言い訳をしているのも事実。

よくも飽きないなぁ、と及川を見て思い、そろそろ行かないとというところで携帯がメッセージを受信する。2年の後輩からで。それを読んで一安心。どうやら渡のクラスメイトに、彼女がいるようだった。持つべきものは優秀な後輩だ、と心の底から思う。

「及川、先に行く」
「え、ちょっと岩ちゃん!待ってよ!」
「遅刻すんぞ」

不思議と足取りは軽い。昼休みに2年の教室に行こう。ありがとう、と返信して教室に向かった。後ろから追いかけてくる及川がやかましかったが、さして気にならなかった。

2016/02/20