イケメン四天王 | ナノ
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「あぁ!もう!なんで起こさねぇんだよ!」
「試合だなんて聞いてないもの」
「岩ちゃーん、先行くよー?バス10分後だからねー?!」
「わりぃ、追っかける!」

最悪だ。アラームを設定した携帯は充電をし忘れて音を出すことはなかった。6時20分。約束通りに及川が家に来て、一気に家の中が騒がしくなる。とりあえずスウェットからジャージに着替えて、荷物をエナメルバッグに突っ込んで。

「はじめ、お弁当ないよ」
「あー、いいよ!いってきます!」
「もう、だからちゃんと試合の予定教えてって言ってるのに」

がちゃがちゃと歯を磨いて顔を洗ってスニーカーに足を突っ込む。及川が来てから5分くらい経っただろうか。バス停の前にコンビニがあるからそこに立ち寄って…間に合うんかや、と焦るがどうしようもない。とりあえず足を動かす。足は速い方だし、全力で走ればそこまで3分だ。ギリギリ間に合う。
充電していない携帯はただの鉄の塊だった。時間も確認できやしない。体育の授業で走るよりも真剣に走って、あとは横断歩道を渡るだけ。及川は既に目的の場所でしゃんと立っており、ブンブンと手を振ってくる。向こう岸にいるそいつに叫ぶ。

「コンビニ寄ったら行く!」
「えー!?大丈夫なの?!」

そんなものこっちが聞きたかったが、とりあえずズンズンと店内に入る。ありがたいことにコンビニはガラガラ。
ちらりと時計を見れば長針は限りなく6に近いところにいた。まずい、と思いながらスポーツドリンクとレジの横にあるおにぎりを3つを適当に選んで会計を済ませたいのに、自分のそそっかしさに呆れた。バッグの中を漁っても出てくるのはタオルやサポーターばかりで、財布が見当たらない。これ以上のタイムロスはまずいと思って、店員に声を掛けた。恐らく自分とさして変わらない歳の女の子。朝から大変だな、と急いでいるながらに思う。
店から出て行こうとした時の、彼女の予想外の返事に戸惑って、でも時間はなくて。とりあえず学年を聞いてレシートを貰って店を出る。こちらに気付いた及川が、でかい声で叫ぶ。

「岩ちゃん、くる!バス!」

左右を確認して、車が来ないのをいいことに横断歩道でもないところで道路を横切った。及川が少しバスを停めておいてくれたので、どうにか乗車。はぁ、と一息。騒がしい朝だ。

「もー、なにやってんの」
「わりぃ、携帯充電すんの忘れた」
「そんなことだと思ったー。おばちゃんにちゃんと言っておきなよ」
「忘れてたんだよ」
「つーかいわちゃん寝癖すごいよ」

あ?と及川を睨みつけて黙らせる。レシートをちらりと見れば下の方にみょうじ、と書いてあった。2年の、みょうじさん。矢巾あたりに聞けばわかるだろうか。クラスも聞いておくべきだった、と後悔するが今更どうしようもない。
とりあえず今は、試合に集中しないと。レシートをジャージのポケットに突っ込もうとして、やめた。折りたたんで筆箱にしまっておこう。

2016/02/19