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久しぶり、元気?
そんな出だしから始まる文章はろくでもないものだ。あくまで私の持論だけれど。
スマートフォンのメッセージアプリ。タップして内容を確認。小学校の頃の友人が結婚するらしい。入籍したことは風の噂で知っていたが、いよいよこの冬に結婚式を挙げるんだと、傍迷惑な幸せが詰め込まれた文面。それを読んで「あぁ、そうですか」くらいの感想しか湧き上がらない私がどうかしているのだろうか。みんなは「まじで?おめでとう〜!」と声を掛け、クラッカーを鳴らしたくなったりするのだろうか。そんな人種が大多数だったらどうしよう、もうこの先を生きていける気がしない。さらに進めると結婚式の後に行う二次会に参加してほしいという依頼の一文。誰が行くもんか。その決断にかかったのは本当に、紛れもなく一瞬で、だったら今すぐにその七文字を彼女に送りつければいいんだけれど、私もそこまで非道じゃない。「わぁ久しぶり〜!!」と打ち込んだ後になんの感情もなくピンク色のハートマークの絵文字で飾り付けた。しかも二個。それに続けて、行きたいのは山々なんだけれど仕事が忙しい時期で時間が作れそうにない、的な言い訳の文章を親指で繕いながら思う。四年付き合った彼氏と別れたことさえも知らないんだろう、彼女は。そりゃあそうだ、高校を卒業した後の同窓会で顔を合わせてから一度も、彼女とは会っていないんだから。なのになんでこんなに急に誘ってきたのだろうか。理解しかねる。脳味噌の原材料が私と彼女では異なるのだ、きっと。だいたい、そもそも、私に四年付き合った彼氏がいることさえも知らないだろう。あ、違った。「四年も付き合っていた元彼氏」だ。表記は正しくしないとね。
誤字脱字はないか、そこそこの愛想がトッピングされているか確認し、出来立てホヤホヤのメッセージを送信する。そんなことをしている間に、日付が変わった。
私は、今日、二十五歳になった。オメデトウ、私。
そしてお付き合いしていた人とお別れしてから、三週間が過ぎていた。胸は全然、痛くなかった。ただ、虚しかった。

2018/10/17