▼02.なめられる


「んっ、ふぅ…ぁっ」

 恥ずかしい声が引っ切り無しに俺の口から漏れるのを、圭吾はにやにやして見てる。
 止めろよ馬鹿、って抵抗したいところだけど、つい五分前に受け入れる宣言をした手前、突っぱねるのもなんだか大人気ない。
それに、子供の遊びみたいなキスをされて、ベッドにくたっと全身を預けてしまうくらいヨくなっちゃってるのも事実なんだ。

ちゅ、くちゅっぷちゅ
ちゅくちゅく…んちゅっ

「良いなら良いって言えよ?」

 圭吾と舌を絡ませながら快感でぼんやりしている俺の耳元に吹き込む様に、口付けを中断した奴が囁く。
 その色っぽい声が堪らなくて、同じ男として悔しくて、俺はそっぽを向いた。

「……なあ瞬、それ逆効果」
「は?」

 てっきり圭吾の事だから「俺が可愛がってるっつうのに余所向くんじゃねえ」とかなんとか言うかと思ってたら、奴はやけに低音ボイスでぼそっと呟いた。
 何の事かとそっちに眼を遣って、

「ッ!」

 なんだよ、そんな潤んだ眼で見詰めるなよ……!
 既に結構ヤバイのに、お前のエロイ顔に煽られてアソコがまたじゅくって先走りを漏らしちまったじゃねーか!

「瞬、お前今どんな顔してるか判ってるか?」
「っそれは、お前だって同じだろ……!」
「俺? ……だって、瞬が『イヤン圭吾っ、もっと舐めて唾液頂戴!』みたいなヤラシイ表情してっから」
「ばっ、馬鹿っぁン!」

 反論しかけた唇を、より激しさの増した圭吾のそれで塞がれた。
 変な喘ぎ声っぽいのを上げただろ、お前の所為で!
 後で覚えとけよ!



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