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恐らく、ぐちゅぐちゅという酷い水音さえ自分にはより興奮するひとつの材料に過ぎないだろう。
ご主人様の許しを得て、出すものが無くなるまで腰を振りたくりたい。
玩具を自分の精液で汚してしまいたい。
「んァああっ…ァんっ、社長ぉ…!」
「どうした?」
一度想像してしまうと、後はなし崩し的に理性を捨て去るだけだ。
自由の効かない両手を必死に動かし、見せ付ける様に股間を男へ向ける。満足そうに男の口の端が持ち上がるのが判った。
「どうして欲しいんだ、波岡くんは?」
「ふぅううん…ッ」
――気が狂いそうな快楽を自分に教え込んだ彼の眼に、淫らな姿を暴かれたい……!
「ぶち込ませてッ…下さいぃい!! 俺のっ…おちんちんをぉ…っハァ、あっ、ヨくさせてぇッ…」
「私が君のをコレに誘導したくなる様な、淫らな誘い文句があるだろう……?」
男は優しげとも取れる笑顔で囁き、青年のペニスの裏筋に指を這わせる。
「ァっん!」
もどかしい刺激が堪らない。
先走りを性器全体に満遍なく広げる様に、たかが一本の指が伝うのが恥ずかしくて恥ずかしくて、イイ。
くち…くちゅ、ちゅくり、
男は口元に微笑を乗せたまま、オナホールを持つのとは逆手で青年のペニスを覆う仕草をしてみせた。
実際は握るか握らないかぎりぎりで止まったその手に、浮かせた股間を押し付けてしまう。
「こら。ペットにご褒美を与えるのは、言う事をきちんと言ってからだ」
「ふぅうんん…ッ」
欲情した雌犬に似た鳴き声が漏れた。
はあはあと唾液を垂れ流しながら荒い息をする姿は、男の眼には確かに淫乱な犬にしか見えなかった。
「ぁあ…ッしゃちょおっァん! ごしゅ…ごひゅじ、しゃまぁああ…ッ!」
「私のペットはどうされたいんだ?」
存在しない首輪を撫でているかの様に、性器から離れた男の手が喉を擽る。
それが合図となった。
「ぉれを…っ淫乱ペットをッあん! ふぁあっあっあっ! 虐めッ…虐めてっ下さいぃい!」
「どんな風に?」
「あっ、あっ、イカせ…てぇアッ…ぁんっ、そのっン、いやらし…ぃ玩具を…ふぅんっ、あっ、俺に下さ…ぐちゃぐちゃオナりたいのぉッ!」
びくびくと痙攣する身体で強請った『ペット』の従順さに愉悦の笑みを浮かべ、男は乱暴に青年のペニスを掴んだ。
「ィひん!」
その手荒な所作にも鳴いてみせる彼を見下ろし、
「もっと鳴け」
嘲る様に言い放ち、無造作に肉棒の先を玩具の口に挿入する。