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 ――仕方ない。
 ぶっちゃけ、今の俺は直くん以外とヤる気には全くなれないけど……

「おっ、……と、ソノ気になった?」
「……」

 にやにや笑うその顔が心底憎たらしくて、俺は黙って唇を塞いだ。



 くちゅ、ぺちゃ、という、普通なら男としてもっとテンションが上がるべきいやらしい水音を、俺は他人事の様にぼんやり聞いていた。
 余裕ぶっていた奴も多少は流されてきたのか、すっと細められた両眼も少し潤んで俺を見詰めている。俺のシャツに縋る手が、本人は無自覚だろうか、段々と力を増しているのがなんだか滑稽だった。
 女の子と至った事さえ片手で数え終わるくらいなのに、男相手は尚更どう誘導すりゃ良いのか判らない。本能に従い、俺はキスを解いて腹まで捲れた奴のシャツを首から抜いた。何気にべちゃべちゃと舌を絡めただけでヨくなってたらしい奴が不満げに眉を寄せたけど、

「ンぁっ!」

 既に固くしこった乳首を強く摘み上げてやると、痛がるどころか気持ち良さそうな甲高い声を上げやがった。
 千切れそうなくらいきつく責め立ててやるも、寧ろもっと虐めてと言わんばかりに口の端から唾液が落ちていく。
 本当に遊び慣れているんだなと、友人の尻軽さに半分呆れ、その何事にも頓着しない気楽な性格を半分羨み、俺は淡々と愛撫を施す。

「ンふ…ぅっ、あきらぁ…あっ、もっと強くしてぇ…っ!」
「……ッ」

 兄弟とは、やっぱり少なからず似るらしい。
 妄想の中で沢山可愛がってあげた直くんそっくりな鳴き声で、そいつはあんあん鳴く。
 勃ち上がり切った赤い突起にそっと爪を立て――

「あぁ…ッん、……ん? 晃……?」
「……め、」
「は? あっこら、止めんなってば!」

 身体は確かに淫らなこの空気に興奮している。俺の息子だって、完勃ちとはいかないまでもそろそろ扱きたくなる程には成長していた。
 けど、駄目だ。
 高ぶっているのと反比例して、頭は酷く冷めていくんだ。

「ごめ……っやっぱ無理」

 全てを放棄し素肌を晒す奴のシャツを着せる。赤く熟れた突起を布が掠めた瞬間、「んっ」と押し殺した嬌声が耳朶を打ったけど、改めて再開する気には到底なれなかった。
 俺って、こんな繊細な人間だったんだな。
 好きな人以外の奴と肌を重ねようとしただけで、萎えちまうなんて。



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