背中:確認:チハヤとヒカリ


 背中にひとつ黒子があって、いつからかそれにキスをすることが、彼女にさえ言ったことのない毎度の約束になった。別にどうということもない、色素の一点まで愛おしいだとか、そんな甘やかな話ではないけれど存外その一瞬を大切にしている自分がいる。
 それを見ると、何となく安心するとでも言えばいいか。
 彼女が今日も彼女のままで、僕も僕のまま。二人が変わらず昨日までの延長に生きていて、別人に成り代わることはなくて、こんな些細な秘密を知るのもきっと僕だけ。そう思うから。
 瞳や、声や、とんとんと肩を叩く手の感覚と同じ。君が君であることの証明の一粒として、僕は今日もその背にひとつ星を見つける。



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