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またあの日がやってきた。それを告知されてから頭の中はそればかりで、しかしいくら悩んでもどうしようもない事は解っている。憂鬱は増すばかりだ。
「それでは皆さん、くじを引き終えたら同じ番号の人を探してペアになってください。」
山本シナ先生の指示で一斉にくのたま達がバラけだす。今日の授業はくのたま上級生と忍たま四年生の合同実習だ。
「うううぅ〜やっぱ休めばよかったかなぁ。でも成績に響くし…」
不定期にある男女混合の授業は人見知り、特に異性と接するのが苦手な名前にとっては辛いもので、合同実習があると知った日からまるで刑執行の宣告を受けたかのような沈み具合だ。忍たまでも同じ四年生とならば、仲の良い綾部や滝夜叉丸と組めないだろうかとも考えていたが、今回はくじでパートナーを決定するということで、淡い期待はあっけなく砕け散ってしまった。
そんな名前が自らパートナーを探しに行けるわけもなく、忍たまとくのたまの群れが出来上がっている少し手前の場所で一人うちひしがれていると、群れから抜け出て彼女に近づく人物があった。
「名前何番だった?」
「あやちゃん…私は九番だよ。」
そういえばくじとはいえ、必ずしも綾部と組めないと決まったわけではないのだ。僅かな希望を胸に自分の引いた番号を告げると、綾部は無表情ながらも面白くなさそうにくじを見つめた。
「僕は四番…」
「やっぱそう上手くいかないか。あやちゃんとがよかったのになぁ。」
「…………」
うなだれた名前の頭を無言で撫でる綾部の手が心地好くてそのまま身を任せる。
(あれ、あやちゃん急に機嫌よくなった?)
綾部の僅かな表情の変化を読み取った名前が首を傾げていると、聞き覚えのある声が響く。
「喜八郎!やはりここにいたか。」
「滝くん。」
「名前の所に行くのにこの滝夜叉丸を置いていくとは。まさかお前達パートナーではあるまいな?」
「………違うけど。」
面白くなさそうに答える綾部に反して、滝夜叉丸は機嫌良さそうに高笑いをする。
「はっはっは!残念だったな喜八郎!名前、八番だったのだろう?」
「……私は九番だったけど。」
一体何の根拠があってこんなに自信満々なのか。名前はたまに滝夜叉丸が理解できないと首を傾げる。しかしこの様子では滝夜叉丸は八番なのだろう。という事は、名前は全く知らない忍たまとペアを組まなければならない。突き付けられた事実に愕然としていると、知らない声が聞こえてきた。