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「おおーい!滝夜叉君に喜八郎く〜ん!」
「お前らこんなところにいたのか。」
どうやら滝夜叉と綾部の友達のようだが、名前にとっては見知らぬ二人、しかも忍たまということは特に不慣れな異性である。こんな見晴らしの良い場所で隠れられるわけもなく、滝夜叉丸と綾部の間で硬直してしまった。
(私は路傍の石、路傍の石。だから気付かないで気にしないで!)
「こんなところで油を売っているとは余裕だな、滝夜叉丸!誰と組むかはしらないが、この実習私が勝たせてもら…」
びしい、と効果音がしそうな勢いで滝夜叉丸を指した少年が、隣に居た名前を視界に入れた瞬間何故か固まってしまった。
一方名前も、何故か自分を見詰めたまま動かない少年から目を逸らせず、二人の間に妙な空気が流れる。そんな雰囲気を壊したのは二人組のもう一人、金髪が派手な少年だった。
「あれ、女の子がいる〜。」
暢気な声にびくっと身体を震わせた名前は、慌てて綾部の後ろに隠れる。そんな名前と見つめ合っていた少年は、頬をほんのり染めていたが、すぐに視線をそらした。
「喜八郎君達のお友達?」
「そうです。僕たち仲良しなんです。」
穴掘り以外に滅多に興味を示さない綾部の珍しい反応に、少年二人は揃って驚く。余程気に入られているらしい彼女は、綾部の後ろで顔を俯けている。その様子に滝夜叉が苦笑した。
「すみませんタカ丸さん。名前は人見知りで、特に同い年以上の男が苦手なんです。」
あの自分大好きな滝夜叉がくのたま一人の為に謝った。これは綾部の事以上に衝撃的で、滝夜叉丸もまた、彼女を相当気に入っているのだろうことが容易に判断できる。一体何者なのか、二人の視線が名前に集中した。