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図書と保健委員会の手伝いが終わり肩の荷がおりたばかりだというのに、乱太郎ときり丸ばっかりずるいと言うしんべヱの頼みを断れず、名前は今用具委員会の手伝いに来ていた。


「俺は委員長の食満留三郎。こっちが三年の富松作兵衛、一年の下坂部平太、山村喜三太、それにしんべヱで全員だ。」


互いに自己紹介を終え、改めて今日の活動を委員長の食満から聞かされる。本日の用具委員会の活動は、作法委員会と体育委員会が掘った穴を埋める作業。まあ委員会が掘ったというよりも、穴掘り大好きな約二名が掘ったものが大半なのだが。その内の一人、親友である彼の飄々とした顔を思い浮かべ、名前は内心でごめんなさい、と用具委員会に謝った。


「でも名字せんぱいが来てくれて助かりましたー!」

「こんなにたくさんの落とし穴、僕たちだけじゃ今日中に埋められないもんね。」


一年生達と名前とで作業をしていると、喜三太と平太が笑顔で頷きあった。一年は組は皆人懐っこいのだろうか、喜三太は最初から物怖じする事無く名前に話しかけていたし、平太は少し人見りの気がある故最初こそ怖がっていたものの、名前も人見知りだと告げられると親近感が湧いたらしく、今では普通に会話をするようになっていた。


「ご迷惑おかけします…。」


そんな二人の発言に名前が苦笑すれば、何で名字せんぱいが謝るんですかと問われ、自分の親友が用具委員会に迷惑をかけているみたいだから、と返す。


「そういえば名字せんぱいって、綾部せんぱいと仲がいいんでしたっけ。」


しんべヱの言葉に頷けば意外そうな視線が名前に注がれたが、こんな反応は珍しくない。何でみんなそこに驚くんだろうと思いながら、名前は手を止めていた一年生達を促し、作業を再開させるのだった。

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