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外出先で二人の忍たま5年生を前にして、緊張のあまり倒れた事を知った名前は一年ろ組の某教師並に暗く沈んでいた。
人見知りをするあまり緊張しすぎて倒れてしまうだなんて自分の情けなさに泣きそうになるが、それ以上に先輩達の前で倒れた事に頭を悩ませていた。
突然倒れた自分を先輩達、竹谷と久々知は心配していたらしいが、滝夜叉丸が説明したらしく、二人には自分が人見知りだという事を知られてしまった。勿論、人見知り故の緊張から倒れてしまった事も話されている訳で、これではまるで貴方達のせいで倒れました、と言っているようなものである。
せっかく好意で誘ってもらったのに、不快な思いをさせてしまったと気に病み、名前は謝罪をしようと一人忍たま校舎を歩いていた。
「ううう…やっぱあやちゃん達に着いてきてもらえばよかったかなぁ。」
実は今回も綾部と滝夜叉丸が着いていくと言っていたのだが、目上の人に謝罪にいくのに連れがいるのは尚失礼だと断ったのだ。どのみち二人共委員会があったようなので、サボらせる訳にはいかなかったのだが。
「おや、こんな所にくのたまが。」
(ひいっ!)
忍たまに会いませんようにとの願いも虚しく、あっさりと見付かってしまった。ギギギ、と音を出すカラクリ人形のように振り返ると、紫紺色の制服を纏った少年が立っていた。
「ここは五年の教室棟だけど、何か用かい?」
「ああああああの!五年生の竹谷先輩と久々知先輩を探していて…」
「なんだあいつらに用事か。二人共私の友人だから案内してやるよ。」
上級生の忍たまに遭遇したのは心臓に悪いが、案内して貰えるのならば早く戻れるかもしれない。彼の親切を有り難く受け取る事にした。
「じゃあ行くか。あ、私は五年ろ組の鉢屋三郎。君は見ない顔だけど、二人の知り合いかい?」
「あ、くのいち教室四年の名字名前です。あの、お二人とは最近知り合ったばかりで…」
「あれ、一つ下か。悪い、上級生のくのたまは少ないから、大体知ってると思ったんだが…」
それはそうだ。忍たまに会いたくなくて、極力彼らの視界に入らないように避けていたのだから。気まずそうに頬をかく鉢屋に、悪いなと思った。
「いえ、私もあまりこちら側には来ないので…知らなくて当然です。だから気にしないで下さい。」
「……………。」
「?」
何故か急に何の反応も示さなくなってしまった鉢屋に不安を煽られ、反らしていた視線を鉢屋へ向けた。
「きゃああああああ!?」
これは何という怪奇現象だろうか。鉢屋だと思って見上げた人物の顔は、自分自身だった。