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2


「どうした!?」

「何で女の悲鳴が?」


名前の悲鳴を聞いて駆け付けたのは、久々知と竹谷だった。


「あれ、名字?」

「もしかして今の悲鳴って名前?」

「く、久々知せんぱ、竹谷せんぱぁい…」


腰を抜かしたまま涙目で見上げて来る名前に二人は一瞬頬を染めるが、彼女の前に居た人物を見て呆れた表情を浮かべる。


「え、名前が二人?ってお前、」

「三郎か。何やってんだ。」


何となく状況が掴めた二人は紫紺色の制服を着た方の名前は友人の変装だと説明し、大丈夫だからと本物の名前を宥める。


「ほら、立てるか?」

「あ、ありがとうございます、久々知先輩。」


久々知に手を差し出され一瞬戸惑ったが、断ると失礼かもしれないと考え、素直にその手をとって立ち上がる。上級生の忍たまが三人も揃った上にこんな事をして、名前の心臓はけたたましく鳴り響く。それを悟られたくなくて少し顔を俯けた。


「それにしても名前、三郎の事知らなかったのか?変装名人で、学園内じゃ結構有名なんだけど。」

「あー…そういえば、変装が得意な忍たまが上級生に居ると聞いた事は、あります。それがその、鉢屋先輩だとは知らなくて…」


すみません、と頭を下げれば三郎も別に構わないと笑う。いつの間にか名前の変装は解いていた。


「そういえば名字は何でここにいるんだ?」

「そうだ。お前人見知りで男が苦手なんだろ?」


久々知と竹谷の視線を一度に受け、ただえさえも先程の失態で羞恥を感じていた名前は更に萎縮する。


「え、と。あの、私…」

「こいつはお前達に用があるんだってさ。」

「俺達に?」


上手く喋れなかった名前を助けるかのように、鉢屋が答えてくれた。


「は、はい。あの、昨日のお詫びを言いに。」

「昨日?もしかして倒れた事か?」

「はっ、はい。倒れた理由を滝くんから聞いたと思うんですけど、あの、決して悪気はなかったんですけど、先輩方には不快な思いをさせてしまったので、本当にすみませんでした。」


ありったけの誠意を込めて深く頭を下げると、それを見た竹谷が逆に焦りだす。こういう態度に出られるのは慣れていないらしい。


「いや、俺達はそんな事全然気にしてないから!な、兵助。」

「ああ。それにハチが名字の都合も聞かないで誘ったんだろうし、名字が気にすることはないよ。」

「ぷっ、確かに。お前即行で約束取り付けに行ってたもんな。」

「なっ……!」


久々知が言った事から思い出し笑いをした鉢屋に指摘され、忘れようとしていた記憶が引っ張りだされた竹谷は顔を紅潮させる。そんな三人のやり取りを見て、本当に気にしていないんだと久々知と竹谷に心の広さを感じた名前は、少しだけ緊張が解けていくのを感じた。

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