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生物委員会の毒虫捜索を手伝った翌日、名前は泣きそうな顔で綾部と滝夜叉丸の部屋に訪れていた。


「まさか天井から名前が降ってくるとはねー。」

「一体何があったんだ?」

「二人共いきなり来てごめんね。でもどうしても二人に相談したい事があって…今日はなかなか会えなかったから。」

「まあ名前が忍たま長屋まで来るなんて、余程の事があったんだろう?聞いてやるから話してみろ。」


四年の付き合いで、名前が滅多な事では男だらけの忍たま長屋まで顔を出さないというのを解っていた滝夜叉丸は、苦笑しながらも名前を迎え入れる。ちらり、と横を伺えば綾部も同じで、名前と目が合うと軽く頷いた。


「二人共ありがとうっ!あのね、実は…」






「…という訳なんだけど、どうしよう?」

「ふむ。確かに名前にとっては一大事だな。一回会っただけの上級生と二人きりで会うなど。」

「でも名前から近付かなければいいんじゃない?会えなければお礼のしようもないし。」

「それが駄目なの。さっきくのたまの先輩づてに甘味屋へ誘われちゃって。もう日時も指定されてるの。」

「うーん、我々が着いて行くのは失礼だしなぁ…」


既に半泣きの名前に縋られては何とかしない訳にはいかないが、良い案はなかなか出てこない。行き詰まり始めた時、光が射すような明るい声が聞こえた。


「滝夜叉丸せんぱーい!」

「一年は組の金吾と団蔵です。」

「金吾と団蔵?悪い名前、ちょっと開けるぞ。」


同室の綾部よりも自分を気遣う滝夜叉丸に申し訳なく思いながら、名前は笑って頷いた。


「失礼します。滝夜叉丸せんぱいに委員会の連絡を…あれ?」

「僕はつきそいです、ってあー!名字名前せんぱい!」

「二人共こんにちは、また会ったね。」


部屋に入るなり名前が居た事に驚いた金吾と団蔵だったが、優しく微笑む名前を見てすぐに引き戻され、嬉しそうに駆け寄った。


「何でここに居るんですか?」

「あ、そういえば滝夜叉丸せんぱいの同室って綾部先輩でしたね。綾部先輩の所に遊びに来たんですか?」


矢継ぎ早に質問する年少組に名前はたじたじだ。綾部もただ眺めているだけで、やはりこの場を纏めるのは自分しかないと、滝夜叉丸は悟った。


「少し落ち着かんか!名前は私達に会いに来たのだ。私だって名前の友人だぞ。」

その一喝に振り返った年少組二人は顔を歪めて滝夜叉丸を見上げる。


「えぇ〜滝夜叉丸せんぱいが、」

「名字せんぱいのご友人、ですか?」

「何なんだお前達その不満そうな顔は!大体にして一年は組は、先輩である私への礼儀というものがなってない!一年だからって甘く見て貰えると思ったら……」


このまま長い説教に突入するかと思われたが、突然はっとした滝夜叉丸が何かを思い付いた表情で年少組をまじまじと見る。

「な、何なんですか急に黙って。」

「滝くん……?」

「そうか解ったぞ!名前、良い方法を思い付いた!」

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