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「今何を言おうとした、左門?」

いつもの彼からは想像も出来ない低い声が空気を震わせる。額に青筋を浮かべ眉を吊り上げる様は不動明王を彷彿とさせ、名前の恐怖心を煽った。

「み、三木君?」
「っああ名前さん。こいつの言うことは気にしないでいいから」

気にしないでいいと言われても、何もしていない後輩に突然三木ヱ門が怒ったようにしか見えない名前には無理な話だ。
 自分が気付かないだけで何か理由があるのならば聞かせてもらいたいところだが、三木ヱ門は何故か目を合わせてくれないのでそれも無理だろう。
 それならばせめてと左門の頭を押さえ付けている手を退けるよう促すと、渋々だが受け入れてくれた。頭の痛みから解放された左門は乱れた髪を整え、じと目で三木ヱ門を睨む。

 三木ヱ門には左門が何を聞こうとしていたか解っていた。それと同時に、自身の気持ちにもはっきりと気付いてしまった。といっても今まで全く気付いていなかったわけではない。薄々予感してはいたが、初めての感情にそれと決め付けていいものか迷い悩んでいたのだ。
 だが今日、この一件で確信してしまった。自分は、名字名前を異性として好いている。
それは三木ヱ門の遅れた初恋だった。

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