TOP > rkrn > 初恋

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何かを始めようとする時、誰もが最初は初心者である。しかしそのスタートラインを同じくしても、必ずしも全員が同じように成長するわけではない。誰にでも得手不得手はあるもので、そのうち遅れをとる者がでてくることもある。


「はぁ…………」


長い溜息を零した少女はその小さな膝を抱えて蹲る。


「名前じゃないか。こんな所でどうしたんだ?」


そこへ声を掛けたのは黒い装束に身を包んだ若い男で、わざわざ足を止めた彼は方向転換して名前の前まで歩み寄る。


「土井先生」


見上げた名前の情けない表情を見た土井が何があったのかと問い掛けると、彼女はややあってぼそぼそと話し出した。曰く、手裏剣が上手く投げれなくて一人だけ補習になってしまい、こうして練習しているとのこと。補習の日に上手く的に当てる事ができないと今後は一人だけ特別授業が待っているのだそうだ。


(山本先生も厳しいことをなさる)


しかし何回投げても的に当たる気配など微塵も無い、とついには泣き出してしまった名前に苦笑を浮かべた土井は、懐から取り出した手ぬぐいを彼女の頬に宛てながら言った。


「あぁ、ほら泣くんじゃない。私が練習見てやるから。」

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