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助けるどころかいつのまにか自ら参戦してしまった綾部も加わり、争いは最早名前一人で止められるものではなくなっていた。
せめて争いの原因が解れば何とかできるかもしれないが、それも名前にはよく解っていない。珍しく綾部と滝夜叉丸が共同戦線を引いているところを見ると、二人共三木ヱ門の何かが気に入らないらしいが、名前には三木ヱ門の悪いところなど見つけられないのだ。
それもそのはず、綾部と滝夜叉丸は三木ヱ門が名前に近付く事を嫌悪しているだけだし、三木ヱ門は名前の前ではいつもの調子が出ず、これといった失態を見せる程多く接したわけではないのだから、名前が三木ヱ門の短所など解るはずもない。
「ど、どうしよう…誰か…」
「あれ?名前ちゃんこんな所でどうしたの?」
「え?…タカ丸さん!」
「…………あの、タカ丸さん。」
「ん?なに名前ちゃん。」
「私は何でこ」
「あーっ名字名前せんぱいがいる!」
何でこんな所に連れてこられたのか、と問おうとした名前を遮ったのは、井桁模様の制服を纏った少年だった。その少年の方に視線を移した名前は瞬時に後悔した。そこには井桁模様の少年だけでなく青色の少年、見覚えのある紫紺の少年らも立っていたからだ。
「火薬…委員会……」
いつぞやに火薬委員長代理だと言っていた紫紺の少年、久々知兵助を視界に入れた名前は、冷や汗を流しながら後ずさった。