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どこからか声が聞こえる。
恐る恐る近づいて行くとそれが子供の泣き声らしいということが解り、安心して足を速めた。
ゆっくりと瞼を上げると見慣れない景色が飛び込んできた。
鬱蒼と生い茂る樹々に獣道。
ここが一体どこなのか解らない。
「さっきまで部屋にいたはずなのに…」
まさかさっきのやりとりは夢ではなかったのか、もしそうなら自分は本当に異世界にとばされてしまったのか?
そんな考えを頭に過ぎらせながらも、神という存在や異世界トリップなどの非現実的な事象をまだ完全には信じられずにいる自分。
不安は募るばかりだが、こんな場所にいては何もできない。
とりあえず開けた場所を探して誰かにここがどこか教えてもらおう、そう決めて頼りない勘を当てに歩き出した。
慣れない山道を少し歩いたところで、異変に気づく。
どこからか声が聞こえる。
恐る恐る近づいて行くとそれが子供の泣き声らしいということが解り、安心して足を速めた。