突然の鍋パーティー?
※6543HITフリー小説
部屋から覗く障子の色は柔らかな橙色、上る湯気とかかげられた達筆な垂れ幕、それをつまむ骸骨………………
「…鍋パーティー…ですか?」
そこには恐らく委員長の字で“用具委員会+伊作のわくわく鍋パーティー”と書いてある。いつもどうり用具倉庫の点検で終わった委員会の後、ぼろぼろの善法寺先輩が俺達を呼びに来た。食満先輩は今日は用事があるとかで(きっと血なまぐさく人知を超えた用事だろうと察した俺はあえて追求しなかった)委員会を休んでいたので善法寺先輩の相手は必然的に年長者の俺がするわけで、もしかしたら校舎裏でボコられるのかそれともカツアゲか、いやまていくらなんでもあの温厚な善法寺先輩に限ってそんなまさか…
「おーい富松くーん、聞いてる?」
「あぁ…まぁ…はい…」
「聞いてないよね」
ひどいよー、とわざとらしくしょげたフリをする先輩に若干の呆れを感じながらも、頭の中でなんとか整理はできた。
つまるところアレだ。学園長ならぬ委員長の突然の思いつきだ。
最近は寒い日が続いていて、委員会の度にチビ共がやれうどんが食べたいだのやれ鍋がしたいだの委員長のまわりで騒いでいた。下級生に甘いあの人のことだから、きっと俺達を喜ばせようとした結果が鍋パーティー…そして食満先輩と同室であるこの保健委員長こと善法寺伊作先輩が誘われた、もしくは自主参加…といった所だろう
「ねー、無視しないでよ」
「…ハッ!あ、その、すみませんわざわざ」
「いーのいーの」
さぁさぁ早く、なんて言って俺の手を引いて空の鍋の周りに座らせようとする善法寺先輩のそばでチビ共がやったぁだの楽しみだねぇだのと騒いでいる(そういやこいつら居たんだった)