君が居ない日
※6543HIT記念フリー小説をいただいてきました。
諦め始めたのはいつからだったろうか。2年、あるいは3年の初めだったか。よく覚えていないけれど大声を上げて泣くことはもういつしかなくなっていた。
みんな、しんだ
いなくなった
ぼくをおいて
ねむっていった
ぼくひとりのこして
冬は嫌いだ、と僕、伊賀崎孫兵は思う。昔は僕は冬が一番大好きだったのに、忍術学園に入って出来た僕の友人はなす術もなく冬に奪われてしまう。ジュンコだって冬眠してしまうし、ほとんどの虫は冬を越すことなく死んでしまうもの、冬眠するものに分類されるために僕はいつも一人残されるのだ。
あれは1年の頃だったか。…もしかしたら違うかもしれない。死んでしまった虫達を埋めてくれた作兵衛と数馬…だったか、左門だったか、まあとにかくあいつらにひどいひどいとわめき散らした記憶がある。つれていかないで かえして と叫べばもしかしたら還ってきてくれるのではないかなんて甘い考えでさんざんあいつらを罵った。あの時は確か竹谷先輩が涙目でなだめてくれたっけ
「なあ孫兵」
「!?何?」
び…びっくりした…僕としたことが…まさか考えてた本人がそばにいると思わなかったし…
「?…なんだよ、そんな驚くか?……それよりあいつらだ!あの方向音痴野郎共知らねぇか!?」
「知らない」
「冷てぇなオイ…」
作兵衛が話しかけてくるときは何時もこれだ。まぁおはようとかそういう挨拶は別として、僕らは雑談と呼ばれる会話はほとんど喋らない…僕が人間嫌いなのを知ってのことだと分かっているが。僕はそれがちょっと不満でもある、がこの年になって僕のことも気にしてよなどというのも気持ち悪いし、…何より気持ち悪い、耐えかねる。
「…呼んでみたらどう?」
どうせ届かないけどね