top > gift > 君と二人で

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※現パロ


名前から夏祭りへ行こう、と誘われたのは2日前。

了承の返事をしようとしたところに、

次屋くんと神崎くんも一緒だからさ、と付け加えられて、俺よりも先にあの二人を誘っていたのかと内心面白くなかったのは内緒だ。


それでも。


「どうかな、似合う?」

こうして名前の浴衣姿を目の前にしてしまうと、そんなことは些細なことのように思えるから不思議だ。

気のきいた言葉の一つも言えねぇことに歯噛みしつつも、おうと返せば、照れたように笑う名前にこっちまで気恥ずかしくなる。


「作ちゃんも甚平着て来てくれたんだね」

「あぁ、約束したからな」

せっかくの夏祭りなんだから三人も甚平着ようよ、という名前の一言に三之助と左門がのっかって、流されるままに俺も首を縦に振ったのだ。

風通しの良い服に落ち着かなさを感じつつも、嬉しそうにする名前をみると悪くねぇかもと思ったり。


「全員そろったし、そろそろ行こうぜー」

「うむ、祭りは戦争だからな。良い景品は早い者勝ちだぞ」

三之助の言葉に左門が応え、俺たちは祭りの喧噪へ踏み込んだ。



金魚すくいに射的、焼きそばにリンゴ飴、くじ引きの店にはでかでかと一等の景品が飾られている。

大通りの両側に並んだ屋台からは威勢のいい声がとんでいて、遠くのほうからは誰かの下手な演歌が聞こえてくる。


「作ちゃん、奥まで着いたら、おみくじ引こうよ!」

片手にはずれの景品を持ちながら、喧騒に負けないよう、名前が少し大きめの声で話す。

両側に並んだ屋台を抜けた先、大通りの一番奥には神社がある。

「おぉ、そうだな。人が増えてきたからはぐれねぇようにしねぇと…」

いつもなら広々とした大通りも、祭りでごったがえしている。

後ろを歩いている二人にも注意しておこうと振り向けば。


……いねぇ。


さっきまで後ろをついて歩いていた二人は、跡形もなく姿を消していた。

「はぁああ?!あいつら、はぐれやがった!」

「作ちゃん、落ち着いて!広いとは言え一本道だし、歩いてたらきっとどこかで合流できるよ」


俺もそう思いたい。

だが、去年の校外実習で見知った道で迷子になった奴らを俺は知っている。

「あいつらに限っては、そうはならねぇんだよ」

下手したら祭りから出てどこかをほっつき歩いている可能性だってある。

「行くぞ、名前!」

強引に月の手を取って、俺たちは人ごみに逆らいながら、来た道を戻りはじめた。

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