めののめも | ナノ
▽0221 (05:48)
銀英伝

勘違い(される)系男主(転生)とラインハルトの軍学校時代の初邂逅について。


「其処の金髪の姉君に親を殺されでもしたのか?陛下の歓心を得るほど若く美しい、それが罪になるとでも?」

「下らん。確かに罪無き御婦人が謂われ無き中傷を受ける事に対しては些か反論がある……しかし、その金髪を庇うつもりは無い。そんな義理も無ければ、そいつ自身実際に問題を起こしているようだしな。ただし」

「もとより貴様ら愚鈍な下衆共に追従する気も無い」

然程背丈も変わらないと言うのに、見下すような威圧感。〇〇の瞳が危うげに輝き、まるで銀の刃、その切っ先か如く煌めいた。
その氷の如く冷たいーーまたは、氷よりも冷たいーー視線がワガママに育った軟弱者である貴族の坊ちゃん達を貫くと、彼らは顔色を一斉に蒼白まで変えた。
〇〇は誰も動かず二の句を告がぬのを見、如何にもつまらなそうに鼻を慣らして踵を返す。たかが下級貴族の次男坊とは思えないその迫力たるや、歴戦の勇者には並ぶべくも無いが、既に将の器であった。



ふと我に帰り、正気を取り戻した時には遅かった。
前世や原作の記憶、可愛げの無い俺と可愛がってくれない親、結果的に出来上がったやさぐれ不良貴族つまり=俺、まさか未来の獅子帝に喧嘩を売るの巻。
慌ててフォロー……を入れる事は不可能だが貴族を貶めて金髪からの敵対心を薄める起死回生の策!!
そして〇〇は気付く。アッこれどっちにしろ不味いわ、立場危うくしただけなんじゃないの? テンパッてカッコつけちゃったのがいけないの?
やさぐれてたのも一気に頭が冷え、今では中二発言に胃を抑えたくなる始末だ。調子乗っちゃったんだけどこれから俺このキャラでいくの?
今も続く家族との確執により長らく表情筋が凍っていた為、徹頭徹尾ポーカーフェイスを保っていたことは幸か不幸か。

後悔先に立たずとはこの事である。

そうして〇〇が自責の念に駆られている間、少しでも金髪の少年に気を向けていれば……そう、彼にしては静か過ぎる事に気付いただろう。
ラインハルトがあまりの興奮にその白い頬を赤らめ、形だけは颯爽と立ち去る〇〇の背中をじっと見送っていた事を。



「キルヒアイス……俺は将来、確実に俺たちの歩みを速めるであろう男を見つけたのかも知れん……!そして俺は、絶対にあの男を得てみせる……!」

未来の人材マニア、ラインハルト。
ターゲット、ロック、オン。

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