めののめも | ナノ
▽0221 (05:40)
hp

親世代男主と組み分け帽子の攻防。


「勇気はあるが、勇猛果敢かと言うと少々違うだろう」

やはりか。
〇〇は一人頷いて、そっと溜め息をつく。
我ながらグリフィンドールは向かないだろうと、最初から思っていたのだ。
二人で一緒にグリフィンドール寮生になる事を期待していたシリウスには悪いが仕方ない。
ブラック家とは言え彼なら或いは、と思わせるシリウスのようなグリフィンドールへの情熱は、残念ながら〇〇には無かった。
絶対グリフィンドールに! そう熱弁するシリウスを眺めながら、俺もグリフィンドールなら良いな、とぼんやり考えた事があるのは確かだが、勇気や騎士道、それに伴う傲慢を己の内に見出すのは酷く難しい。

「忍耐強さもある、だが愚直さ忠実さは余り感じられない」

周囲が言うほどハッフルパフが嫌なわけでは無いが、心優しさや素直さがあるとも思えなかったのでこれも予想通りだった。

「思慮深く賢い。物事の本質を見極める力があり、何処までも学問を追求する知への貪欲さは素晴らしい」

まぁこうなるのだろうな。〇〇は極々当たり前にその言葉を受け入れた。
頭の出来はそこそこ良いとは思っている。これはけして過信ではなく、才能に驕ればあっと言う間に努力に抜かれてしまうだろう事も理解していた。
そんなに大仰なものでもないが、神童だって何もせずに育てば基本的にただの人に戻るのだ。
詰まるところ実際には全て自分次第なので、元々の素養などあれば幾らか便利な程度なのである。〇〇は酷く現実的な事を考えた。

「レイブンクローか、なるほど確かに△△の子。血に違わず聡明だ。そして機知に富む才知」

頭上で不思議な声がうむうむと唸った。先は不世出の学者か、最高の研究者か、はたまた素晴らしい教授……と羅列していく組み分け帽子は、どうやら随分と〇〇を期待してくれているらしい。

「しかし奥底にある真の力は、目的の為なら手段を選ばぬ程の強い意思……其れは無二の聡慧を覆すほどに際立っている……うむ。見事に成し遂げた時、君は歴史に残る偉大な魔法使いになるだろう」
「……え? ちょ、待ってくださ」

〇〇は漸く雲行きが怪しいことに気付いたが、無情にも組み分け帽子は〇〇の慌てた声に被せるように叫ぶ。

「スリザリン!!」

シリウスに何て謝ろう。寧ろ口利いて貰えるのかな……〇〇は目から光を失ったのだった。

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