文 | ナノ

ちょっと強引に


 放課後。なんとなく、気が向いたので黒子くん観察ついでに、わたしは、体育館へと向かおうとしていた。体育館へ入ろうとした時、デカイ浅黒な男が後ろから走ってわたしを追い抜いて行った。あれはキセキの世代の青峰、だったっけ?キセキの世代っていうのはどうしても目立つ存在だから、興味なくてもなんとなく覚えてしまった。青峰くんは「テツ!」と叫びながら黒子くんへと向かっていた。
 青峰くんも、どうやら黒子くんと仲が良いみたい。ていうか、黒子くんのこと名前で呼ぶ人少ないよね。

 「ちょっと青峰くん!遅刻だよ!テツくんに迷惑かけないでよね!」
 「桃井さん、僕は迷惑なんてかけられてないですよ。青峰くんが、赤司くんにメニュー三倍にされるだけですから。けど、遅刻は治してください。早く青峰くんとバスケしたいですから。」
 「げ、まじかよ。あー…まあテツがそーいうんなら努力するわ」
 「もーテツくんマジ天使!健気!」

 気づけば、桃井さんも加わって一段と騒がしくなっている。ってか、桃井さんってあんなキャラだっけ…?もしかして黒子くんのこと好きなのかな?てか付き合ってたり?んー多分違うっぽいけど。

 そうこうしているうちに練習が始まった。強豪校なだけあってメニューは凄くハードみたいだ。黒子くん、ふらふらしてるけど大丈夫かな…。
 黒子くんは、レギュラーみたいだけど、人より若干体力がないみたいだ。多分だけど、パスが得意みたい。わたしはどうやら人より眼が良いらしく、空間把握力が高い?っぽいので、かろうじて黒子くんが何をしているか把握できる。多分あのパスはふつーの人だったらキツイんじゃないかなあ。
 ぼんやりしていると、黒子くんの体がもう限界みたいで、ふらりと傾いているところだった。そこですかさず青峰くんが支えていた。

 「赤司、テツ限界みてーだからちょっと連れてくわ」
 「しょうがないな、大輝はやく連れていけ」
 「青峰くん、僕は大丈夫で」
 「うっせ、黙れよテツ。行くぞ」

 そういうと、青峰くんは半ば強引に、だけど自然に黒子くんの手を握って、連れていった。

 青峰くん、不器用っぽいけど、黒子くんのこと大切にしてるんだなあ。

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