自分の気持ちに嘘をつく
「お前はお前だろ」
笑ってくれた君が眩しかった。きみは、漆黒であるがゆえに何物にも穢されることはなくてこんな僕でも一緒にいていいのかななんて安心したんだ。
「シリウスったら、相変わらずだね」
「なんだよ、たまにはお前も参加しろよなーリーマス」
笑っているシリウス。どうやら悪戯が成功して機嫌が良いみたい。
「僕は、遠くから眺めてる方が好きなんだ。チョコレートでも食べながらね」
そう言って笑ってみせると、お前はいつもそればかりだなあ。なんて呆れられたみたいだ。
「ねえ、シリウス。」
呼んでみると、なんだよ?とすぐに返事が返ってくる。その距離の近さに僕は安堵して、同時にこれを手放したくないと強く願うのだ。
「好きだよ」の一言を言いかけては、のみこむ事を繰り返し、僕はいつも通り「なんでもないよ、ただ呼んだだけ」とこたえてみれば、「変なリーマス」と首を傾げられる。そんなシリウスですら愛しくてたまらなくなって、またひとつ溜め息を吐く。
でもこの感情は決して悟られてはいけない。この心地よい、ぬくぬくとした友情を、親友という生温いポジションを手放したくないのならば。
だから、僕は今日もただただ微笑む。僕の気持ちを気付かれないように、祈りながら。
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リーマスの葛藤
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