目を合わせるのも怖かった
ずっと、思ってた。
ぎゅうぎゅうに縛り付けて、監禁して、僕しか触れられないように、ずっとずっと僕の。
その、笑顔を独占したい。笑顔だけじゃなくて、怒った顔も、泣き顔も、全部全部ぜんぶ。僕のものだ。そうでしょ、せんぱい
せんぱいの視界に入るもの全て、耳に聞こえるもの全てが憎いとさえ思ってしまう僕は異常者なのだろうか。もはやそんなことはどうでもいいのだけれど。ただそれは事実で、どうしようもなく僕は歯痒い思いをするのだ。
せんぱいの目には僕しか見えなくて、せんぱいの耳には僕の声しか聞こえなくて、僕とせんぱいしかいない世界を作り上げるにはどうしたらいいんでしょうか。
嗚呼、狂ってしまいそうだ。
「ジェームズ」
せんぱいから、声をかけられるなんてめったに無いことなのに、今にも暴れ出しそうな内なる狂気に、目を合わせるのも恐かった。だから今日も目をそらして、この狂気を抑えこむのだ。
せんぱいに嫌われたら生きていけないのだから。
「大好きですよせんぱい!」
「うるさい」
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普段のふざけてる感じのジェームズなんだけど実は自分の中の狂気と戦ってる的な、おはなし。
そしてルシウスは若干気付いてる。
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