文 | ナノ

馬鹿で結構です。だから、隣にいさせて下さい。


「すきです」
 僕の、決死の告白に彼は「馬鹿だなあバニーちゃんは」と、苦笑いした。馬鹿なことを言っているのは充分承知だ。僕だって、こんなはずじゃなかったと今でも思っている。それでもどうしようもないことはあるのだと、この鏑木・T・虎徹という人間に出会って知ってしまったから。

「大体俺は、もう良い年したおじさんだし、今でも妻を愛してる。だからお前を幸せにはしてやれねぇよ…」

「幸せになんてしてくれなくていい、僕が貴方を幸せにする。今でも奥さんを愛してる?そんなの充分承知してますよ。その奥さんごと、僕は貴方を愛してみせます、だから」

「ほんとに馬鹿だよ、バニー…」

 迷うことなんてない、貴方はただ、僕の傍にいて、そして僕の事を愛してくれたら良い。来世も、なんてそんなことは望まない、それは彼女の役目だと思うから。だから今だけ、ほんの少しだけ僕を愛してくれれば良いんだ。

「自分の気持ちから目を逸らさないで。馬鹿で結構です。だから、隣にいさせて下さい。」

 彼の頬をつたう、一筋の涙。それを同意と受け取って、僕は黙って、彼を抱き寄せた。


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兎虎、バニーちゃん自信満々。というかなかなか折れることが出来ない虎徹さん的な。
虎友が切なすぎてやばいです。
title by 確かに恋だった

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