彼女が俺を残して、卒業する日
本当はずっとわかってた。彼女が、いつかは、誰かを好きになって、俺から離れていく時が来るってこと。別にそれでもいいと思ってた。彼女が幸せなら。
だけど、それと同時に心の何処か奥底で、自惚れていたんだ。もしかしたら、俺が彼女のたった一人の相手になれるんじゃないかって。でも現実はそうはいかなくて、やっぱり彼女は俺を残して去っていくことになった。
錫也だいすき
そう何度も言ってくれた彼女だったけど、結局それは親友としての好きで、愛に変わることはなかったのだ。だいすきだと言われる度、嬉しくてたまらなくなった。けれど苦しくなった。いっそ残酷なほどに、彼女は俺を大切にしてくれたし、俺も彼女を大切にした。
彼女にはたくさん助けてもらったし、俺も彼女を守るのは当然の役目だと思っていた。でも、もう明日からは俺が傍で彼女を守ってやることは出来ない。この役目は彼に渡ってしまったから。
だからせめて、今だけは
「月子、おめでとう」
これが、最後だと。想いをこめて、ぎゅっと彼女を抱き締めた。
彼女はいつもと変わらずふわりと微笑んだ。俺のだいすきだった笑顔。本当に好きだったよ。さよなら月子。
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錫也→月子
片想い。つっこの結婚式前夜くらい設定。つっこの相手は誰でもご自由に笑
title by 確かに恋だった
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