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O3








『少しだけ、此処に置いてください…ッ!』




言い訳が浮かばずに力業に出た自分の脳みそが恨めしい。

此処に置いてくださいってお前。承太郎に世話をして下さいって意味だぞお前。何考えてんだよォォ!!





「悪いが、」
『俺このままじゃ怖くて夜も眠れません!!でもお兄さん強そうだし頼れそうだし、そもそも俺がこんな目に遭ったのが貴方のせいなら何も聞かずに少しの間くらい面倒見てくださいッ!』




そして人間とはこういう汚い行動を取るのである。



きっと自分を狙ったスタンド使いに巻き込まれて俺が此処に来たと思ってるんだろうに。可哀想にプププ。

にしても奇跡的に許可貰えたって、こんな頼み方したんじゃ今後が気まずい。


いいやッ、希望なんてあると思うんじゃあない俺!






『少し滞在したら素直に帰ります。約束します!』




ゴリ押ししろ、生きていくにはそれが必要だ。


うわあ、空からスゲェ深い溜め息が聞こえた。
とんだ面倒事に巻き込んで申し訳がない…!きっと明日には現実の俺が目ェ覚ましますから!!












「やれやれだぜ…まずは頭を上げろ。」

『許して頂けるまで上がらない頭なので無理です。』



「ハァ…解ったから、さっさと上げてくれ。コッチが居た堪れねえ」



ガバァッ!

そういう擬音が相応しいくらい大袈裟に頭を持ち上げた。
振りかぶりすぎて首が痛い。






『あの、有難うございます…俺、苗字名前です。』

「空条承太郎だ。
受け入れた手前申し訳ねえが、俺がこの街に滞在するのは残り一週間だけなんでな。キミには必然的に」
『十分です!よろしくお願いしますッ』





一週間なんて言わず一日で姿を眩ましてやるさッ、責任感じて捜すんじゃないぞ!

…本当に捜されそうで怖い、見付かりにくい所に書き置きでもしとこう。








『俺のせいで起こしましたよね。寝てください、ソファー借りてもいいですか?』

「いや、キミは客人だ。俺がソファーで」
『空条さんデカいから無理ありますよ。あ、タオルケット一枚奪わせてください』

「…ああ、すまねえな。」



あんな事言ったのに怒んないで普通に話してくれてる。
さすが懐のデッケェ大人は違うぜ!シビれる憧れるゥ!!

ずるずるとベッドからタオルケットを引き摺り出して抱えたまんまソファーに腰掛けた。






『おやすみなさい、空条さん。ホント有難うございます』

「礼は一度で十分だ。
おやすみ、苗字くん」





部屋の電気が消して、彼がベッドに入った。



このまま寝たらきっと俺は現実で目を覚ますんだろう。

夢だけど、承太郎に名前を呼ばれたぞ。明日はジョジョの単行本を枕の下に…いやそもそも悪夢で一回起きたからな、やめとこ。







『(あ、承太郎の匂いがする。なんだこれスゲェいい匂い)スンスンスンスン』

「嗅ぐな。」

『ハイィィ…!』




なにスタープラチナ監視とか出来るの?早く寝ろよ、もうちょっと嗅ぎたい。


だって、名残惜しいんだ。

一週間まるまる此処で過ごせたらいいのに…寝たら、終わっちゃうのに‥‥







『…‥ふごっ。』

「‥‥‥。」




三秒で寝たお。





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