腹が減っては。 U



まず、この学園なんで授業中も食堂を解放してるのだろうか。そんなことするから高見みたいなやつが出てくるんだ。
まったく!坊ちゃん共め。お前らみたいな奴らは贅沢病にかかってしまえ。


「今日はあれだ、チャーハンが食べたい気分だわ!」
「ハイハイソーデスカ」


····幸せそうな顔しやがって。
人の金で食う飯はそんなにうまいのか?そういやあ俺、いつも奢る側だからなあ····そういうのわかんないやあ········


「なあ高見···、奢られて食う飯は美味いか···?」
「えっ突然なに?こわい···」
「俺もな·····誰かに奢られてみたいんだ」
「うーーん····なかよくわかんないけど、ドンマイ宗太ちゃん!」
「せやろな」


眩しいくらいに悪気のない笑顔と勢いよく立てられた親指に言い返す気にもならなくて、とりあえず額にデコピンを喰らわせるだけに留めておいてやった。


「いっただっきまーーす!」
「おう。たんまり食えよこの野郎」


あいも変わらずバカ高いチャーハン。
普通の家庭で出てくる量で5千って。むしろチャーハンのどこをどうこだわればここまで値上がりするんだ。


「美味い?」
「へっっはふはい!はへはわほふう?」
「食う」


高見はにっこりと笑うと、チャーハンをスプーンの上に大盛りに乗せ、「はい、あーん」と気色悪い声を出しながらスプーンをこちらに向けてきた。

高見のにんまり顔にちょっとキュンッときたとか言わないぞ俺は。だって俺はノンの気を貫くつもりなのだからな!ハッ!残念だったなクソイケメン!

ゴホン。

という訳で、俺は高見の手からスプーンを奪うとそれを乱暴に自分の口に突っ込んだ。


「俺が食べさせてあげるじゃん」
「うるへーよ!······む、ん···!?ん、なにこれめっちゃ上手い!」
「ふふ、な?上手いだろー?」


何がどうなって値段が5千円に跳ね上がったのかは謎だが、それでもたしかにこれは上手い。
いつも食べていた『え?お腹減った?じゃあ冷凍庫にあるチャーハンチンして食べといて』のノリのチャーハンとは全く違う、5千円のチャーハンになるために生まれてきたチャーハンの味。


「これは確かに授業抜け出してでも食いたくなるな」


前に食ったチキンライスも美味かったが、やはりこの食堂で一番安いだけあって有り合わせ感が否めなく、ここまで驚く程の味はしなかった···だが、このチャーハンはほんと上手い。








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