新しい友達 V
「あ、やっときた」
未だに釈然としないまま道を歩いていると、長い脚が視界に入った。ゆっけり顔を上げると、むすりと顔を膨らませた広海が俺を見下ろしていた。
「ごめんごめん道に迷ってさぁ」
「なんで迷うの?馬鹿?ああそっか、馬鹿だったね」
「う···否定出来ない···」
「···はあ、そんなことよりさ、それ誰?」
広海は俺の隣の空腹男を指差し嫌そうな顔でこちらを見た。
「あー、これはかくかくしかじかで···」
「いや分かんないし」
「ん?···あーーッ!広海くんじゃん!俺だよ俺ー!同じクラスの高見友士だよ!」
そう言って空腹男改め、高見くんとやらは広海の手を握りぶんぶんと振り回す。広海は嫌そうな顔をして「知らないし」と言い、握られた手を勢いよく振り払った。
「ひどいなお前」
「ちぇっ、まぁでも広海くんって確かに他人なんて興味ありませんって顔してるもんな!」
「お前もひどいな」
高見くんに至ってはそれはただの偏見だろ。
「ていうか早く飯行こ。休み時間になったら人くるしダルいんだよ」
高見くんの答えに呆れて溜息をついた広海は、横にいた俺の手を掴んで食堂に向かい歩き出した。高見くんはさっさと先に言ってしまう広海に「酷い!」と一言投げかけたあと、駆け足で俺たちについてきた。
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