新しい友達 T



「ひっ、ひろうみ、!しっ、しぬ!」
「あ、ごめん忘れてた。」
「ゲホッ、ゴホ、はぁっ、お、おまえは俺を殺す気か!?」
「あながち間違いじゃないな」
「えっ」
「言うこと聞かない奴は嫌いだから」
「ヒッ」


俺はいつかこいつに殺されるんじゃないだろうか。うん。ちゃんと言うこと聞こう。


「我が友人ながら将来が心配になるや。ていうか俺の将来が心配」
「あっは、ジョークじゃんジョーク!」
「その顔は嘘じゃない時の顔だろ···」
「さすが宗太、わかってるじゃん」


····ん?それはどういう····?


「次昼休みだから先に飯食べよう」
「えっあ、うん、じゃあ食堂?」
「うん」
「わーい!楽しみー!」


なにか釈然としない気持ちで広海の後に続きながら、ここの食堂はどんな感じなのだらうかと想像を巡らせる。

俺と広海が通っていた中学にも食堂はあった。
でも調理のおばちゃんは自由な性格な人で、なんかもうめんどくさいなと思ったら食堂はそこまで。すでに購入済みの食券は明日に持ち越されるというPTAもビックリの仕組みとなっている。

育ちざかりの少年に昼飯抜きはキツいのでおばちゃんが飽きる前にすばやく食券を買い少しでも早く列に並ばなくてはならなかった。

おかげで俺は足が速くなり、広海は遠くからでも食券機に手が届くように背が伸びた。生物とは日々進化をするものだ。身をもって生命の神秘を感じたよ。

俺が昔の思い出に浸っていると、広海が足を止め、何やらごそごそしているのに気づく。


「どうしたの?」
「あー多分カード忘れた」
「じゃあ俺トイレ行ってくるから、取ってきなよ」
「うん、そうする」
「じゃあまたあとで!」


広海は俺に「迷子になるなよ」と言い、急ぎ足で部屋へ戻る。

俺はトイレへ向か·····えない。
そういえば俺転入生じゃん。トイレの場所なんて知らないじゃん。馬鹿なのか俺。


「やばい」


とりあえずうろうろしたら見つかるだろと適当に歩き回る。
すると、少し言ったところに、何か大きなパネルが壁にかかっているのが見えた。


近づいてみてみると、それはどうやらこの校舎の見取り図らしい。簡単に言うと、大きめのショッピングセンターにあるアレだ。


すごい、俺高校にこんなのあるの初めて見たわ。イ〇ンみたい。


「しっかし広いな、トイレ行く前に漏れそう」


一層尿意が高まった気がして、ブルリと身震いする。
···と、とにかく急いでトイレへ行かなくては。


俺は案内板を見つめ、トイレの位置を確認する。そしてWCという文字を見つけると、大きく息を吸って走り出した。




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