友達 Z



そう言うと、広海は俺が投げた枕を持ち上げ、一歩一歩こちらに近づいてきた。
その顔は稀に見る不敵な笑みを浮かべていた。これはヤバイぞ。あれは昔から俺をいじめる時の広海の顔だ。やばい。本能が逃げろって言ってる。


「あわわわこっちくんなー!」
「やだなぁ。何もしないって」
「な、なんかだめ!だめです!来ないで下さい!」


こういう時の広海を見ると、体中の穴という穴がキュッと締まる。まあ、主にケツの穴が。


「ほら、おいで宗太」
「え、遠慮しまっ、」


部屋のドアを開けリビングに行こうとすると、足がもつれてフローリングに倒れ込んだ。
や、やだー!俺のバカバカバカー!とか言ってる暇ないからな!今すぐ立たないとあの悪魔になんかされる!何かはわからないけど!ていうか知りたくないけど!


「あーあ、転けちゃった。ほんとに宗太は情けないな」
「ヒェッ···!」


立ち上がろうと体を持ちあげようとする、が、上がらない。なんでかって?だって広海が俺に跨っているから。

重い怖い近いのトリプルコンボ。
これはあれだ、俺はもしかしたら今から俺は死ぬのかもしれない。というか死にたい。


「お前は···」
「あーーーッ!!」


広海が何かを言おうとした瞬間、開けっ放しだった玄関の方から耳を劈くような叫び声が聞こえた。



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