06
家の屋根が見えてきて、やっと着くなって思っていたら、玄関の前にうずくまっている誰かがいた
近付くのが怖かった
誰か、だなんて
近寄らなくたってわかるから
ぼくの大好きな花ちゃん
三つ編みお下げはいつもとちがってよれよれで、ところどころお下げから髪の毛がぴょんっと飛び出してる
急いで結んだんだなって、すぐにわかった
うずくまってるから表情はわからないけど、きっと寂しそうな顔をしているんだろうな ぼくがいないと花ちゃんはいつも寂しそうな顔をしていたから
こんなに寒いのに、花ちゃんはなんにも羽織らず、部屋着みたいな格好をしてた
「花ちゃん」
ぼくの声は情けなく震えてた
でも、花ちゃんに会いたかった
笑顔が見たかった
いつもみたいに、ひろちゃんって呼んで、笑ってほしかった
「花ちゃん、花ちゃん」
みっともない涙声
自分でも泣きそうになってるのはわかってる
でも、必死にすがりつくように花ちゃんの名前を呼んだ
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