「ふぁんふぁーひふぇん?」

もぐもぐと目の前の食べ物を頬張りながらヒソカの言葉を聞き返す。


「そうボク今年も受けるんだそれで良かったらキミも」
「嫌だヨ、そんな人がうじゃうじゃいるところ。僕はのんびりと本と暮らす」

「そんな受かったらライセンスが貰えるのに

「ライセンス?」

「そう、ハンターライセンスがあれば専用の情報サイトが見れるし危険区域の八割以上にもはいれるんだけ、ど…まぁ嫌なら仕方ないよね、無理強いはしないよ

「僕も参加する」

ヒソカは満足そうにニンマリと微笑んだ。
くそ、こいつ最初からわかってたくせに。

でも、そんなライセンスがあれば今まで以上に元の世界の情報が入ってくるかもしれない。


僕は廃墟に戻るや否や団長にハンター試験の許可を申し出た。


「…どこで聞いた」

「ヒソカ、僕にはライセンスが必要だヨ。それは団長もわかるだろ?」

「いいだろう、お前が試験を受けるのは許可する」

あり?意外とあっさり?
でもこれで何の障害もなく試験が受けられる。

顔には出さないが内心喜んでいる僕に、クロロは両肩に手を置いて僕の瞳を覗き込んだ。


「ただし条件は三つある、守れるなら試験を許可しよう」

なんだそういうことか。
でも団長らしいね、本当。

「いいよなんでも守る」

「一つ、ヒソカとは行動しない」

あぁ、一応警戒してるのかな。
僕にとっては番犬だけど団長達にとったら危険人物だからね。

「二つ、命を落とすようなことはしない」

それは僕だって落としたくないよ。
たった一つの命だからね。

「三つ、絶対に此処に戻ってくること」

瞳の奥が揺れた気がした。
戻るって、だって僕は幻影旅団なんだから此処にいるのが当たり前じゃないか。
団長は何を心配しているのだろうか、
いや、心配というよりは僕に首輪をした。

新しい世界に逃げないように先手を打たれたらしい。

でも、僕は

「いいよ。その条件を飲む」

「決まりだな、合格して帰ってこい」

団長の手が僕の頭をわしゃわしゃと撫でる。

思わず目を細めた、いつからだろうか。
この感覚に心地良さを覚えたのは。






踏み出す一歩
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