クロロが広間に入るとワーワーと何やら言い争う声が聞こえてきた。どうやらまたフェイタンとカグヤが揉めてるらしい。



「だからチビスケが先に僕の焼きプリン食べたヨ」

「その前にお前がワタシの杏仁豆腐食べたネ」

「でもその時先に僕のドクターペッパー飲んだのはチビスケだヨ」

「あんな不味いモノワタシに飲ませる、これ死に値する行為ね」

「ドクペの美味しさがわからないなんてまだまだお子ちゃまだネ」

「はっ、17のガキが何言うてるね」

「二人ともいい加減にしないと団長に、」

「あぁ、少し遅かったみたいだな」


いきなり現れたクロロにその場にいた団員は皆振り向きこれはマズイという表情を浮かべた。


「カグヤが入ってもう数週間、まだこんな小競り合いをしてたのか」

「「そもそもコイツが、っ!」」

お互いに言いかけて睨み合う。この二人もしかして根本的には気があってるのでは?クロロは顎に手を置いて二人を見つめる。


「フェイ、お前のほうが大人なんだ。もう少し譲れ」

「何故ワタシが譲るか」

「カグヤは入ったばっかりだ、それに」

「ああ、コイツが弱いからか?それなら納得ね」

「寝言は寝て言いなヨ。お前なんて三秒でバラ肉にしてやる」

「はっ、やてみるがいいよ。身の程を知ることになるね」

「やめろ。カグヤ、いちいち突っかかるな、フェイも」

「団長、僕はあくまで平和に過ごしたいんだヨ」

「ふむ、…フェイ。女の我儘ぐらい許してやれ、男なんだ」

「女?なに寝ぼけてるか団長」

「……言ってなかったか、カグヤは女だぞ」


クロロの言葉にまたその場にいた団員全員がカグヤをバッと見つめる。

男にしては声変わりしてない高い声も、華奢な体もそれなら納得がいく。


「…女…?」

「あーあ、バラしちゃうのか」

「これから共に生活するんだ、いつかバレてたさ」

「…寝言は寝て言うね」

「うるさいな、僕だって嫌だけど女なんだヨ。最悪だネ」

心底嫌そうに顔を歪めるカグヤを見てフェイタンは疑いの目を辞めることなくゆっくりと近付いた。


むにゅんっ

そんな効果音が聞こえたような気がした。フェイタンの手がカグヤの胸と股の間に伸ばされたのだ。


「……胸、ある、下…ない…本当に女だたか…?」

「…死ぬ覚悟はできてるかな?」

「まぁ落ち着けカグヤ、これでフェイも納得しただろ」

フェイタンの心情が荒れていく。なんやかんや言って何処かで自分はこの腹の立つ奴を戦闘面で認めていた。殺してやりたいとも思うけれど強さだけは自分と同等だと、それがまさか女だったのだ。

確かにこいつは男にしては中性的な顔立ちだった。でも、そんな。

「…嘘ね、何か詰めてるに決まてるよ」

フェイタンは頭では理解してるが納得したくないのかビリリっとカグヤが着ていた服の胸元を破った。

すると予想を裏切りぷるりと揺れる胸を目の当たりして愕然とした所に容赦ないカグヤの蹴りが入り壁にめり込む。


「殺す」

「…今のはフェイタンが悪い」

クロロは呆れたように深い溜息を吐いた。先が思いやられるな。





信じられない時もある
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