「あー、そんなわけで宜しくネ」

へらりと笑えばマチがワナワナと震える右手を振り落としてきた。危ないなぁ。


「ストップストップ、マチ、やめてよ、僕痛いの嫌いなんだヨ」

「じゃあ感覚なくなるまで縛ってやろうか?」

「スミマセンデシタ」

ピシッと頭を下げればマチから溜息が聞こえる。何も言わないで此処まで来ちゃったしね、怒るのは当たり前かな


「で、アンタはそれでいいの?」

「なにが?」

「何がって、アンタの団長は特別な人だったんだろ?クロロを団長にしていいのかい?」


あぁ、それか。
確かにマチにはいかに僕が団長を尊敬して敬愛してるか前に語った事がある…でも


「いいんだよ、僕はこの世界でやっと団長に会える方法を見つけたんだ。プライドなんてもういらないヨ」

僕がにっこり微笑めばマチは少し悲しそうに眉を下げた。おかしいな、どうしてこんなにめでたいことなのに悲しむのかな?


「え?ねえ団長本当に月兎入団したの?」

「あぁ、今日から此処で暮らす。カグヤ、お前の居場所は此処だ。他の居場所は捨ててこい」

「了解だヨ、”団長”」

「マチ、お前の部屋の隣に案内してやれ。必要なモノは自分で盗ってこさせろ。此処のルールも教えてやれ」

「…わかった。いくよ」

マチに手を引っ張られて僕は歩く。此処に来るときに居場所なんて捨ててきたさ。

僕の置き手紙を読んで、キルアはどう思うかな。

次に会う時はちゃんと言うよ。

ごめんね。



新たな居場所
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