「やぁ久しぶりだネ

ヒソカの指定した待ち合わせ場所にいると後ろから知らないお兄さんに声をかけられた。


「…はぁ、…どこかでお会いしましたか?」

「クックックッ


お兄さんは端正な顔立ちを崩さずに爽やかに笑う。

おかしい、いつもの僕ならこんな綺麗なお兄さんを見ればご機嫌のはずなのにお兄さんを見るとイラっとする。

それにこの声は



「…まさかと思いたいけど、ヒソカ?」


「ピンポーン大正解

上機嫌のヒソカはまるでチャイムを押すように人差し指でプニッと僕の頬を押す。


ピキッとこめかみに青筋が浮き出る。


「うざいヨ、帰る」

「ごめんごめん怒らないで


ヒソカは僕の手を取るとエスコートするように店内へ僕を案内した。
その時腰に回された手は思い切り叩いた。
本気で痛がっていたようだが気にしない。



部屋はわざわざ個室を選んだようで僕とヒソカ、そして注文を取りに来たお姉さん3人だけ。


「とりあえずここからここまで、全部持ってきてヨ」

ヒソカの奢りだ、腹いせに沢山食べてやろう。

僕の注文に驚愕の表情を浮かべながら店員のお姉さんはかしこまりました!と慌てて部屋から出て行く。

そんな中もヒソカはニコニコとただ微笑んでいる、うん。うざい。


「いつものヘンテコなメイクはどうしたのさ」

「せっかくキミと食事するんだたまにはこんなボクもいいだろう?

ニンマリと言うヒソカにイラっとしたが確かに今日のヒソカはいつもより一緒にいてイライラしない。

やはり人間見た目が第一だということかな?


「それより、カグヤ少し痩せたんじゃないかい?

ヒソカの金色の瞳が射抜くように僕を見つめる。

あぁ、そう言えば最近まともに食事なんかとってなかったっけ。


「そう見えるんならきっとそうなんだろうネ」

「食べてないのかい?

「食べてるよ、食べないとイルミ達がうるさいからネ」

でも、ほとんど残す。


「最近食べるのが億劫なんだヨ」

と言いつつも運ばれてきた料理はパクパクと綺麗に食べていく。


「それはまた、なんでだい?

「忙しいのもあるね、蜘蛛から逃げ回ってるのもあるし、団長探しもあるし」


ほとんど寝てないしネ。


「体調崩したら元も子もないよ

「心配ご無用、これでも僕には半分夜兎…最強の戦闘民族の血が流れてるからネ」


ザザザザと皿の中の料理を口に流し込むカグヤを見ながらヒソカはその顔に相応しくない妖艶な笑みを浮かべてクックックとまた溢した。


楽しみだよ、キミを狩るのが



毒をも喰らう
prev / next

top
×