周りの砂埃がなくなってくると徐々に月兎の姿が露わになる。
月色と髪と瞳に透き通るような白い肌。
華奢な身体に似合う中性的な顔立ち。



「なかなか美青年だな」

あぁ、最悪だ。こんな所であんな奴に素顔を見られるとは。

黒チビは僕の包帯片手にニヤニヤと目だけで僕を馬鹿にしたように笑っていた。


「ワタシにコレとられる、お前対したことないね」

「あり?服に穴があいてるよ?もしかしてギリギリで避けたのかな?必死だネ」

お互いバチバチと火花が飛ぶ。

内心はお互いこいつ絶対殺す、だ。


「カグヤ、蜘蛛に入れ」

男の声が響く、他の奴らは驚くどよめき立つが男の顔は真剣そのものだ。


「フェイと互角に殺り合う事ができる奴なんて稀にしかいない」

「でもクロロ、今団員数足りてるよ」

「ヒソカと変えてもいい、それか0番を与える」


淡々と進んで行く話にイライラする。



「僕はあの人以外の誰の下にもつかない。それに…団長は二人もいらない。お前を団長と呼ぶなんて死んでもゴメンだネ」


「そーいうわけで、じゃあね

ヒソカはいつの間にか隣に来ると僕を抱えて闇に消えた。心の中で最初からこうしてくれればよかったのにと悪態をつく。


「ゴメンねご期待の団長じゃなくて


「いいさ、元々こんな簡単に会えるとは思ってなかったし」


と言いつつ僕の口からは重い溜息が出るばかりだった。



闇に紛れる兎と奇術師
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