電気を消して真っ暗な闇の中。

俺は寝れずにどうやってこの部屋から抜け出すか考えていた。


発を増やして、いや念自体きかねぇのか?
なら飯時にあそこを…
いやでも、風呂場の上は…


何を練っても上手くいかない。
ごろりと願えれば目の前に長男の顔があって思わずヒッ!と声がもれる。


ああそうか、こいつと寝てるんだもんな。

瞳が閉じられてるだけでこんなに印象変わるんだな、人形みてぇ。

ジッと観察してるとカッ!と瞳が開いてまた悲鳴がもれた。



「ひぃ!」

「なにジロジロみてるの」

「お、お、お前、寝てたんじゃ!?」

「他人と同じベットですぐ寝れるわけないだろ」

くそ!くそ!くそ!

なんなんだよ!!

顔の近さに思わず逸らすと長男は思い詰めたように俺の手をとった。

「なん、だよ…」

「さっきもう一つ方法があるって言ったよね」

「あぁ」

「それはさ、さっきのシリウスさんの反応で確信したんだけど確実にここからでれる方法なんだ」

「なんだよ、それ…はやく教えろよ!」

言うや否や長男は俺に覆いかぶさってきた。
な、なんだこいつ。


「簡単な話、やっちゃえばいいんだよ」

「やっちゃ、え、ば…?」

「そう、だっていろいろこの部屋見たけど明らかにそのための部屋だし」

「そのため?」

「ベットがこんなに大きくて、鎖もこんなに短くて、着替えるとこも隠せるものも何もないし」


はあ?こいつは何を言っているんだ。

と思っていたら長男は俺のシャツのボタンをプチプチとはずし始めた。



「なっ、にしてやがる!!」

「え?だから手っ取り早くでる方法」

「だから何すんだよ!」

「?、言ったじゃん、SEXするって」



は?

な、ん、で

なんでそうなるんだよ!!!!


「ハァァァアアアア!?!?お前頭大丈夫かよ!!なんで会ってまだ一日も経ってないお前と!俺が!」

「だからここから出るためだって、なんでもするんでしょ?」

「いやするとは言ったけどこれは!」

「それに仮にも許嫁なんだからいつかするでしょ、今するか後でするかの違いだから」

「いやしねーーよ!!!後でもしねーし今もしねー!」

「へぇ、じゃあここから出れなくてもいいんだね、一生」

長男のその言葉にぐっと息がつまる。
そんなのは嫌だ。
ここから出たい。
もう国に帰りたい。

でも、俺は


「大丈夫、目瞑ってればすぐ終わるから。嫌なら避妊もするし」

長男はどこから出したのか俺がぶん投げたはずの箱からアレを出して俺の頬を撫でた。


「お前は嫌じゃないのかよ」

「別に。抵抗がないって言えば嘘になるけどいずれする行為だしアンタは一応俺の許婚なんだから非難されることじゃない。むしろ親父もこれを望んでる。それでここから出られるならするよ、俺」


ここから出られる、なら。


「…わかった…」

「大丈夫、お互い初めてじゃないんだからすぐ終わるよ」

そして長男はまたボタンをプチプチとはずしていった。


(逃げ出したいほどに)


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