ドホボボとお湯をかけられ目を覚ます。
なんて起こし方だこのクソ親父。
見渡すと見知らぬ部屋で横にはあの長男が恨めしそうにこっちを睨みながらシルバさんに捕まっていた。
「なんの真似だクソ親父、ここどこだよ」
「のん!パパでしょ!ここはね、シルバがロアとイルミ君のために作ってくれた特別な部屋なんだ!」
ニッコニコ話す親父にブチっと殺意が湧いた。
「親父、どういうこと?」
「荒治療だがお前とロアちゃんが仲良くなるためにこの部屋に閉じ込めることにした」
「え」
「はぁ!?」
シルバさんの言葉に俺は思わず目が飛び出るかと思った。
冗談じゃない!なんでこんなやつと!
逃げようとした瞬間俺はガチャンと自分の腕に付けられた手錠に目が釘付けになった。
その長い鎖の先は長男と繋がっているらしく。
「ふ、ざ、け、ん、なーーーー!!!!」
無理だ無理だ無理だ!
親父なら絶対やるけど無理だ!
こんな奴と閉じ込められるなら俺は家督を捨てる!
「親父っ!」
叫ぶと親父とシルバさんはそそくさと出て行く。
待てよと追いかけるも無情に扉はしまった。
すぐに部屋の中央のでかいモニターがつく。
『や!ここからお話はできるからね!まあそんなに干渉しないけど!』
『イルミ、仕事の方は俺と親父に任せておけ。ロアちゃんと仲良くな』
そういってプチッとモニターは消えた。
うわああああああああああ!!!!
嘘だと言ってくれ!!!!
俺は絶望のあまり頭を抱え込む。
本当にこいつと?
「嫌なのはこっちもなんだけど」
「うるせぇ!俺は男が大嫌いなんだっ!」
「自分だって男になるくせに」
「だから嫌いなんだよ!男が男を好きなのはきめぇだろ!」
たくっ
本当に厄日だ。
とりあえず女のままじゃ居心地が悪い。
さっさと男に戻ろう。
無駄に広いこの部屋のシャワールームにいって冷水を浴びる、が、
「あのクソ親父ィィィィイイイイ!!!!!」
「なに、うるさいんだけどって、なんで女のままなの」
「やられた!最初にかけられた湯が止夢桶だったんだ!」
「止湯桶?」
「呪いの湯みたいなもんで姿が変わんなくなるんだよ!俺が男の時いくら欲しがってもくれなかったのにこんな時に使いやがって!」
ワナワナ震える俺の横で長男が顔を顰めた。
「え?じゃあもう男にはなれないの?」
「親父に開水釜の水かけてもらえば元に戻る、けどたぶんこの状況を作ったからにはしばらくこのままだ」
俺と長男は同時に溜息をついた。
(覚えとけクソ親父)
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