今日は皆が待ちに待ったホグズミートの日。
晴れ渡る空とは裏腹にリンクスの心はモヤモヤと曇りがあった。



始めてのホグズミート、やっぱりフレッドとジョージと来たかったわ。


「少し誤ったわね」

「何がだい?」

ふうと溜息を吐くと同時に問われた言葉、振り向くといつもの笑みを浮かべたディゴリーがいた。


「背後から忍び寄るなんて薄気味悪いわよ」

「キミの驚く顔が見て見たかったんだ」


変わらずニコニコしながら言うセドリックにピキリとリンクスは青筋を立てる。


この男どこまでも食えないわ。今すぐにでもこの護身用爆弾を投げ付けたい。


ポシェットに入ってる双子から貰った護身用爆弾という糞爆弾を取るか否やと悩むリンクスをセドリックはマジマジと見つめる。



「?、何よ…」

「いや、キミの私服は初めてだから…」

意外と乙女チックなんだね。

ニッコリと言われたリンクスは顔が赤くなるのを感じた。
今日の格好は白いレースのワンピースに赤いカーディガンとポシェット。
別にセドリックのためにお洒落をしたわけではない、初めていくホグズミートが楽しみだったからお気に入りの服にしたのだ。



「別に、生まれた時からこういう格好ばかりだったからこっちのほうが落ち着くのよ」


ナルシッサの趣味でリンクスはいつもお人形のようにレースやフリル、リボンをふんだんに使ったドレスや洋服を着ていた。他の子ならば浮いてしまうかもしれないがリンクスの容姿は見事にそれを着こなしている。



「そんな事より、早く案内しなさいよ!」

恥ずかしさを誤魔化すように急かすとセドリックは嬉しそうにリンクスの手を取って歩き出す。


「ちょっと…」

「いいじゃないか、今日ぐらい」


まぁ、手くらいならいいか。
リンクスはもうセドリックの行動に慣れ始めていた。



「ねぇ」

「なんだい?」

「それで…っち、…よ?」

「え?」


よく聞き取れないとリンクスのほうを見ると彼女は耳まで赤くしてセドリックを真っ直ぐ見ていた。



「似合ってるのか似合ってないのか、どっちなのって聞いてるのよ」


先程のセドリックの言葉を気にしてるのかリンクスは少し拗ねたような口調でボソッと言った。

今度はセドリックが赤くなる番だった。



「…ッ、とっても」

「とっても…?」

「とっても可愛いよ、リジー」


可愛い、と言われ思わずリンクスもさらに赤くなる。いつも言われ慣れてるのに今日は少し緊張したせいかものすごく恥ずかしい。


「馬鹿じゃないの、そんな事は聞いてないのよ」

リンクスはつんっと顔を逸らして歩く足を早めた。セドリックもにやける口元を押さえながら置いていかれないように待ってよとリンクスの手を強く握った。





「落ち着け相棒、出て行くのはまだ早い」

「あぁわかってるさ相棒、その手に持つ糞爆弾もしまうべきだと思うぜ?」


一部始終見ていた双子はギリギリと歯を食いしばりながらセドリックを睨むように二人の後をつけた。


高鳴る鼓動


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