独り占め。 「ヒソカ、ヒソカ、お花出して」 「いいよ」 ヒソカは数枚のトランプをアネモネの掌に乗せた。 「?、お花じゃないよ?」 「アネモネが一番好きな花の名前を言ってごらん」 「えと、じゃあ…アネモネ」 アネモネが言葉を発した途端、トランプは色とりどりのアネモネに変わった。 「わぁ!すごーい!ヒソカすごい!」 「キミにはアネモネがピッタリだね」 ヒソカはスッと白いアネモネをアネモネの髪に飾り付ける。 「清純無垢、無邪気うん、いいね」 「ヒソカ、それ以上アネモネに触たらその腕ごと切り落とすよ」 「腕ごとじゃ甘いね、その首を絞め殺す」 「物騒だなぁアネモネがボクを選んでるんじゃないか」 そう、先程からアネモネはヒソカにべったりなのだ。 フェイタンやマチがいくら呼んでもヒソカ、ヒソカと離れない。 そんなアネモネを見て団員達はギリギリとヒソカに嫉妬の炎を燃やしていた。 「ところで今更なんだけどキミは何なんだい?」 「アネモネは団長の所有物だよ」 「アネモネに聞いたんだけどなぁ団長が飼うなんて珍しいじゃないか」 「アネモネはベリル族なんだ」 シャルナークが告げた言葉にヒソカは目を丸くした。 「納得したよじゃあこの獣耳は猫耳だね」 「ヒソカはピエロ族なの?」 アネモネが発した言葉に団員達が吹き出した。 悪意がないのが余計に面白い。 「ボクは人間だよアネモネ」 「でもさっきお花出せたよ?」 「それはね、ボクが奇術師だからさ」 ヒソカとアネモネが話していれば広場の扉が開き、クロロが入って来た。 「…ヒソカ。来ていたのか」 アネモネに顔を緩めそうになるが、横にいるヒソカに気付き顔をしかめた。 「久し振り団長随分と面白い所有物だね」 クロロの反応を見てヒソカはアネモネの肩に手を乗せた。 「あぁ、そうだろう。言っておくが俺のモノだ。アネモネ、おいで」 「クロロ!」 クロロが呼べばアネモネは一目散にクロロに抱き付いた。 それを見て満足そうに笑うクロロと、不満げな表情を浮かべるヒソカがいた。 「残念」 * その夜 「アネモネ」 「なぁに?クロロ」 「ヒソカと俺ならどっちが好きだ」 「クロロ!」 ―きゅんっ 暫くクロロの顔に締まりがなかったのはクロロだけの秘密である。 prev next ×
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