嘘から始まるキミとの距離 | ナノ


▽ 変わってしまったのは何?


新学期、四年生になった。

学年が上がっただけで何も変わらない。スリザリン生とサラはうまくいってるらしく前と変わらない居心地のいい談話室だ。

一つ変わったのはいつも下ろしていた長い髪をリボンで結んでいるのと、耳にピアスをつけていることだ。

そして、変わらずサラは夜になるとヤドリギのしたへ行く。


来ないとわかっていてもサラにとって此処は特別な場所なのだ。


がさり、と音がした。
こんな夜に此処に来るのはハーマイオニーかロンだ。
笑顔で振り向くと、そこには待ち焦がれた人物がいた。


「ハ、リー…」

「サラ?」


ハリーは驚いたように目を大きく開き固まってしまった。サラが此処にいるとは思ってもいなかったのだろう。



「「どうして此処に?」」


お互いの声が重なり、ついクスクスとサラが笑い出す。

それにつられハリーも緊張をほぐすようにはにかんだ。


「私此処に来るのが日課なの」

「…それって、毎日此処へ来てるってこと?」

コクンと傾いたサラにハリーは胸が締め付けられそうになった。


「ずっと僕を待ってた…の?」

ハリーの質問にサラは真っ直ぐ薄紫の瞳でエメラルドグリーンを見つめニコリと誤魔化すようにはにかんだ。


「…サラ」

「私が好きでしてることだもの、気にしないで」

あなたとこうして話せるだけで、私は幸せなんだから…。


ふわりと夜風が二人の間をすり抜ける。風に靡いてサラのリボンで結ばれた髪がふわふわと揺れ、きらりと銀色のピアスがハリーの目に止まった。



「プレゼント、気に入ってくれてよかったよ」

「ん、とても素敵。ありがとう、本当に嬉しかった」

「君こそ、ゴーグルありがとう。ああいうのが欲しかったんだ」



二人はまるであんな出来事などなかったかのように楽しくお喋りを続けた。この日を境にハリーはまたヤドリギの下に来るようになった。そしてたわいもない話をする。

前は恋人として、今は友達としてヤドリギの下でキミに会う。

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