▽ 最高のクリスマス
クリスマスの朝、サラはいつもより早く目が覚めた。外は少し明るくはらりはらりと雪が降っている。
「綺麗…」
ハリーもこの雪を見るかしら?
気が付けばハリーの事を考えてしまう自分に嫌気が差し髪をかきあげる。メイドが部屋に来るまで時間がある。読書でもしようとベッドから出るとソファの横の小さなクリスマスツリーの横に色とりどりの、沢山並んだ箱があるのに気が付いた。
「誰からだろう?」
今年はハーマイオニーとロンだけだと思っていたのに。
色合いが緑と銀の包装紙が多い。期待を胸に一つ一つ開けていく。
皆プレゼントに手紙が添えられている。
スリザリン生からだ。
手紙には今までの態度の謝罪と新学期からも仲良くしてほしいという内容が殆どだ。
じんわりとサラの心が温かくなる、いつもの冷たい涙とは違う温かい涙がサラの頬を流れた。
自分のプライドを守りつつそれでもサラに手紙やプレゼントをくれるスリザリン生の不器用な優しさが嬉しかった。
驚いた事にドラコからもきていた。彼の場合謝罪と言えるのかわからないが彼なりに反省しているの伝わる内容だった。プレゼントはサラがいつも気に入って談話室で飲んでる紅茶の種類の詰め合わせだ。メーカーが違うのか包装がとても可愛い。サラ好みだ。
「お返し考えないと」
マルフォイには箒磨きセット、クラッブとゴイルにはお菓子詰め合わせ、パンジーには髪つやつやブラシ、ノットには自由変幻ブックカバー、ダフネにはその日の気分香水、ザビニには一分間惚れ薬詰め合わせ、ミリセントには天使の羽ペン。
新学期を想像してサラの顔は自然に笑顔になった。
ハーマイオニーからはマグル界のバスバブルセットが届いた。ロンからは元気になるお菓子、楽しい気分になれるお菓子などが届いた。
今頃二人には念入りに選んだインクのなくならないペンと食べても食べてもなかなか消えないお菓子セットが届いてるはずだ。
だいたいプレゼントを開け終わり優しい気持ちと少しの切なさを抱きながらソファに腰がけた。
キラリ、ツリーの横に小さな箱がある。
見落としてしまっていたらしい。パープルの包装紙に銀色のリボン。可愛らしい箱だ。
開けてみると中にはライラックをモチーフにした銀色のピアスとライラック色のリボンが入っていた。
「ハリー…」
どこにも彼の名前は書いてなかったけどこれはハリーからだとサラは確信した。
ポタポタと落ちる涙は、温かかった。
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