「ドラコ」

僕には二つ齢の離れた姉がいる。

優しくて美しく成績優秀。父上の自慢の一つ。そんな姉を持てば誰もが劣等感や敵対心を抱いているんじゃないかと勘ぐる。

でも僕は一度も姉上に対してそんな気持ちを抱いたことはない。

姉上の性格も関係しているのか、それとも



「ドラコ」

「...!、姉上...?どうかしましたか?」

「ふふ、私の台詞だわ。ボーッとして、まるで起きながら夢をみてるみたいだった。やっぱり列車は疲れる?」

「まさか、もう4年目ですよ」


静かに白い手が伸び僕の頭を撫でる。


「もう子供じゃないんですから…」

「寂しいこと言わないで、ドラコはいつまでも私の可愛い弟よ」


目尻を下げて笑う姉上を見て、どうしてか僕は無性に泣きたくなった。


まかれた種は何色か

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