58 不詳



「お前、嫌なほど様になってるよな・・・」

お前が言うな。

ボーイの恰好のままレオリオを外に引きずり出し、そのまま車に乗り込む。センリツに状況を説明し、3人はクラピカとゴン達が出るのを待った。

「結局、レオリオ君の作戦ってどんなのだったの?」
「・・・・」
「・・・ノーコメントで」
「ふふ、心音で分かったわ」

まさかヤクザの真似事したなんて公には言えないだろう。それも、ボーイに引っ張り出されるヤクザなんて情けない。まぁ、そのボーイというのがテルドなわけなのだが。
当の本人は特に思い出を振り返る事も無く後部席に堂々と座って服を着替えている。助手席に座っていたセンリツが困っている様にも見えたが、本人は割とどうでもいいらしい。最低だ。

「テルド君、着替え中で申し訳ないのだけれど、質問してもいいかしら」
「何に関して?」
「ちょっと聞きづらい話。答えたくなかったら答えなくて構わないわ」
「そう言っても、貴方は心音で分かってしまうだろう」
「それもそうね」

何故、今聞くのだろうかと考えてすぐに理解する。センリツは心奥底に眠るテルドの真実に勘付いたのかも知れない。凄く嫌な真実を。
レオリオを一瞥すると、彼はすぐにバツの悪そうな顔をして耳を塞ごうと手を持っていく。
時刻はまだ6時57分。余裕はあるか。

「良いよレオリオ、別に俺はこの人の話に付き合う気も無い」
「おいそれは言い過ぎ・・・」
「だって失礼すぎるだろ。人の過去掘り返そうなんて」
「そうね、申し訳ないわ」
「構わない。こちらも大人気なかった」

だが、質問に答える気は無い様だ。

7時ジャスト。険しい顔で、受付嬢に扮したクラピカが裏口から出てくる。ちゃんとその腕には鎖で巻かれた旅団長ががっしりと掴まれていた。

「・・・、」
「敵の何人かは痛手を負った。加勢が来るまで動くまい」

ゴンとキルアは結局無理だったらしい。
しかし、やはり近くに寄ると威圧感の格が違うのがよく分かる。鎖に巻かれ口さえも縛られているにも関わらず、彼は汗1つ垂らさない。否、それどころか表情さえも先程と何1つ変わっていなかった。
後部座席にテルド、旅団長、クラピカという形で乗り込み、車はすぐに発進する。
と、そこでテルドと旅団長の目が合った。
すぐにオーラを出すだが、旅団長の目は相変わらず笑ったままだった。

「大丈夫だ、この鎖は蜘蛛を捕えるためだけの物。よって相手は強制的に絶状態にさせられる」
「あ、そう・・・」

絶じゃなくても彼なら体術があるだろうが、足も手もどこも鎖で縛られている為、問題は無さそうだ。何より、今の旅団長の表情からして抵抗する気はゼロだろう。
そこで、旅団長の口を縛っていた鎖が解かれる。だが彼は何かしゃべるわけでも無く、ただじっとクラピカを見据えていた。

「何を見ている」

クラピカは旅団長の視線には答えなかった。

「いや、鎖野郎が女性だとは思わなかったな」
「私がそう言ったか?それより発言に気を付けろ。何がお前の最後の言葉になるか分からないからな」
「俺を殺す事は出来ないさ。大事な仲間が残ってるんだろう?」

挑発したつもりが、逆に煽られている。
思わず反論しようとしたクラピカだったが、それを遮って旅団長が口を開いた。

「お前がテルドか」
「違いますぅ」
「団員から聞いている」
「あ、そ」

シャルナークあの野郎・・・余計な事を。
脚を組んだまま何も答えずに居ると、旅団長改めクロロ=ルシルフルが僅かに嗤う。まるでシャルナークの様に。

「(テルド・・・)」

貴方は一体、何を考えているの?




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