▼「っいて!」
ぼうっと、ふと其ればかり考えていたら、ボスンッと彼の背中に体が当たる。「おい何止まってんだよー!!!!」っと未だ振り向かないラクサスに声を荒げる。
すると徐に、彼がこちらに振り向く。同時にぎゅうっと手を握られた
「……」
「…なんぞ?」
「…あのよォ」
「近い近い近い近い近い近い顔近付けんなマジで息掛かるから」
なんだ、とラクサスの顔を見やれば、ジィーっと真っ直ぐこちらを見つめて顔を近付けてくる彼。俺はそれに思わず冷や汗ダラダラ
ちょっと待ってくれ俺正直こういうの慣れてない!てかおい、ゴリラのくせに睫毛長いな引っこ抜いてやろうか。いや嘘です悪かった!!!結構心臓バクバクいってる!!!周りの視線が痛いの意味で!!!
「…なんでお前、逃げんだ?」
「…へ?」
「俺から逃げてるだろ」
ピクンッ、彼の言葉に無意識に肩が跳ねた。それを逃さない、と言わんばかりにラクサスの眉間にシワが寄るのが見えた。ぎゅうっと握られた手の力が徐々に強くなる。痛いくらいに
「痛い…、離せ」
「答えろ」
「うるっせーな!逃げてねーよ!そもそも俺がお前の何に逃げるってんだ、お前の勘違いだろクソゴリラ!」
周りの人々の視線が立ち止まる俺たちに掛かる。その中には勿論、先ほどの綺麗な女性、お洒落な女性も見ていて。
早くこの場から逃げたいと、声を荒げる。本当は怒ってないのに
「…そうかよ。」
「ちょっ、まっ…!?はぁあ!?!?」
ラクサスの呆れた声が頭上に掛かる。ごめん。そう内に溢せば、ふと自分の体が宙に浮くのが判った。
一瞬の出来事に目をつむる。体勢がやっと安定して目を開けば、何故か高い位置。そして自分の体に回された腕を見て、俺は何が起きたのか理解して青ざめた。
「下ろしやがれぇえええ!!?!?!?!」
「てめぇが言わねぇのが悪い」
そう。俺はいまこのクソゴリ…ラクサスに抱っこされてる。お姫様抱っこ。最悪だ最低だなんたる屈辱…
それとは裏腹、先ほどの真剣な眼差しだったラクサスがニタァと笑うのだ。
「言わねぇとこのまま買い物続行だなー?」
「うわぁああ!?本当にやめてくれマジでお願いホンマ勘弁して!!!!」
「じゃあ言え」
「いやいやいやだから逃げてないし何を言うってんだよ訳わかんねぇよ!?!」
「嘘は嫌いでな」
更に周りの視線が痛くなる。もう俺の体がザクザク剣に刺されるような勢いで痛い。痛いよ本当。当のラクサスは悪どい顔で歩き始める。おいお前に羞恥心はないのか
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